セメント系固化材由来のCO2排出量を約50%削減・竹害問題の解決にも貢献「竹チップ」による杭汚泥の固化処理技術
概要
場所打ちコンクリート杭を造成する際は、地盤掘削時に安定液や地下水など水分を多く含んだ状態の汚泥が地上に排出されます。この建設汚泥を産業廃棄物として搬出する場合は、運搬効率向上のため、これまではセメント系等の改良材を添加し固化していました。今回共同開発した本技術は、建設汚泥に添加するセメント系固化材の約半分を竹チップに置き換えることで、セメント系固化材由来のCO2を約50%削減する効果が期待できます。
- ※竹チップとは
粉砕機などを用いて、竹を5ミリメートルほどに細かく砕いたもの
竹チップによる建設汚泥の固化処理フロー
採用メリット
本技術を採用するメリット
- 1.セメント系固化材の使用量削減によるCO2排出量削減。
- 2.竹の生長過程で吸収したCO2を地中に固定。
- 3.伐採後の竹を有効利用するための技術として竹害問題の解決に大きく貢献。
開発の目的・背景
放置竹林
竹は非常に繁殖力が強く、用途の広い素材であり、生活用品として籠類、ザル類、箒等に利用されていた。しかし、近年では輸入製品や他の素材の製品に押され需要が低迷している。その結果、特に西日本において竹林の放置が目立ち30 年間で竹林面積が10%以上増加し、全国で約16 万1 千haにも至る。この放置竹林の増加問題の中、伐採された竹材の有効利用が急務となっている。
詳細情報
本技術を用いた処理フロー
- 1.場所打ちコンクリート杭の掘削工事により建設汚泥が発生
- 2.建設汚泥に、セメント系固化材と竹チップを添加し撹拌
- 3.コーン貫入試験により、建設汚泥の固化状況を確認
- 4.運搬車両に積み込み、建設現場から中間処理場に運搬
- 5.中間処分場にて再度固化処理を実施し、再生土としての各種品質を確認したうえで盛土材等として再活用