2024年09月26日
㈱長谷工コーポレーション(本社:東京都港区、代表取締役社長:池上 一夫、以下、「当社」)は、学校法人福岡大学(福岡県福岡市城南区)工学部の佐藤 研一教授と「竹チップ※1を使った建設汚泥の固化処理技術」(以下、本技術)を共同開発しました。(特許出願中)
建設現場で場所打ちコンクリート杭を造成する際は、地盤掘削時に安定液や地下水など水分を多く含んだ状態の汚泥が地上に排出されます。この建設汚泥を産業廃棄物として搬出する場合は、運搬効率向上のため、これまではセメント系等の改良材を添加し固化していました。
今回共同開発した本技術は、建設汚泥に添加するセメント系固化材の半分を竹チップに置き換えることで、セメント系固化材由来の年間CO2排出量約8,000 t-CO2を約4,000 t-CO2に半減する効果が期待できます。これは、約28.5万本のスギが1年間に吸収する量に相当します。また、中間処分場に搬入された建設汚泥は、再度固化処理を加え、盛土材などに利用できる再生土※2となります。竹は成長の過程で二酸化炭素を吸収し炭素を貯蔵するため、再生土に使用する竹チップはカーボンニュートラルにおける「吸収剤」の役割を果たす※3として、脱炭素社会の実現への貢献も期待されております。
本技術は、千葉県市川市内の新築マンション建設現場で初めて採用し、今後も当社が施工する建設現場にて順次採用予定です。また、竹チップの利用は、放置竹林による竹害問題の解決に大きく貢献できるため、地域創生や地域活性化などを目的に協定を締結している奈良県明日香村や福岡県などと連携することにより、各地域の課題解決に向けた取り組みも進めております。
当社では、2021年12月付で制定した長谷工グループ気候変動対応方針「HASEKO ZERO-Emission」に基づき、建設現場における脱炭素化を推進しています。また、今後も「都市と人間の最適な生活環境を創造し、社会に貢献する。」という企業理念のもと、事業を通した課題解決に取り組み、企業価値向上を目指しながら持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
※1 粉砕機などを用いて、竹を5ミリメートルほどに細かく砕いたもの
※2 建設現場で発生する産業廃棄物としての汚泥、コンクリートなどを乾燥、粉砕し、場合によっては他の材料を混ぜて、土と同じような形状にしたもの
※3 下記既往文献を参考に脱炭素効果を算出。竹の炭素量を乾燥質量の47%として試算した場合、約39,000t-CO2の炭素貯蔵量になる。後藤ほか:放棄竹林生態系の現存量ならびに炭素貯留長の推定に関する研究、システム農学、Vol.24, No.4, pp.243-252, 2008.
【本技術を用いた処理フロー】
① 場所打ちコンクリート杭の掘削工事により建設汚泥が発生
② 建設汚泥に、セメント系固化材と竹チップを添加し撹拌
③ コーン貫入試験により、建設汚泥の固化状況を確認
④ 運搬車両に積み込み、建設現場から中間処理場に運搬
⑤ 中間処分場にて再度固化処理を実施し、再生土としての各種品質を確認したうえで盛土材等として再活用
【本技術を利用するメリット】
① セメント系固化材の使用量削減によるCO2排出量削減。
② 竹の生長過程で吸収したCO2を地中に固定。
③ 伐採後の竹を有効利用するための技術として竹害問題の解決に大きく貢献
【建設現場の施工状況】
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