コンクリート構造物の耐久性向上のためにコンクリートのひび割れ低減技術への取り組み

コンクリートは乾燥等の体積の減少によるひび割れが発生し易い材料であり、ひび割れの低減は永遠の課題となっています。ひび割れ発生の抑制は建物の美観のみでなく、耐久性の向上にも寄与します。そこでコンクリート構造物の耐久性向上を目的とし、ひび割れ低減技術の実用化に向けた取り組みを行っています。

コンクリートの収縮制御技術の実用化に関する検討

実構造物検証状況

コンクリートの収縮量は、セメントや骨材の種類等や養生環境等によって異なります。ひび割れ低減を目的として、収縮量の低減が見込まれる骨材種類を選定したり、膜養生剤で表面からの乾燥を抑制したり、収縮低減剤や膨張材を混入して体積変化を制御する等の技術がありますが、小型試験体における収縮低減量は図れても、実際の構造物におけるひび割れ低減効果は未知数です。
当技術研究所では、コンクリートに使用する材料の違いの他、収縮低減剤や膨張材の効果により、実際に得られるひび割れ低減効果を、実大試験体や実構造物にて検証しています。

ひび割れ低減を目的とした低発熱型セメント使用時の品質管理に関する検討

検証試験体

コンクリート強度の増加や部材の大断面化により、セメントの水和発熱による温度上昇を起因とするひび割れは発生し易くなります。発熱の少ない中庸熱ポルトランドセメントの使用により改善が期待できますが、強度の発現速度が遅くなますので、品質確保の観点から合理的湿潤養生期間の検討を実施し、現場への適応を可能としました。