信頼される組織風土
社外取締役メッセージ
当社は、重要な議案については取締役会とは別に、取締役会メンバーによる意見交換会を機動的に実施し、十分な時間をとって議論することで社外取締役の経営執行に対する監督・助言を積極的に図っています。
社外取締役の多様性および実効性ある監督機能の確保
当社は創業以来、良質で且つ求め易い価格で集合住宅を広く供給することで社会に対する貢献を果たして参りましたが、近年は住宅の建設・供給を中心にそれらを取り巻く事業に対しましても『企業の社会的責任』という考えをベースに、信頼される企業となるべく種々の社会的な活動を実施して参りました。特に現在推進中の中期経営計画では、経営方針の一つとして『CSR経営』を打ち出し、4つの取組みテーマ(住んでいたい空間、働いていたい場所、大切にしたい風景、信頼される組織風土)を元にCSR行動計画を策定し、環境や社会の様々な課題の解決に積極的に立ち向かいサステナブルな社会の実現を目指しております。
今後は今まで培ってきた実績や経験を活かし、ITやAI等の新技術も投入し、DXを活用した技術革新にも注力し、設計や施工の生産性向上から暮らしの利便性の改善に至るまで、ハード・ソフトに亘る事業の推進の中で戦略的に課題解決に取組み、社会に一層の貢献を果たして参りたいと思います。
社会やステークホルダーとの間で『共有価値の創造』を生み出し、社会的・環境価値を向上させつつ、企業の成長・業績の拡大といった経済価値をも併せ向上させることにより、『HASEKOブランド』を揺るぎないものとし、社会から信頼され続ける企業を目指したいと思います。
社外取締役の役割としては、一般の株主の利益を守るために、経営を監督することが求められています。私は、弁護士、投資法人の執行役員、上場企業の社外監査役の経験を活かし、社内の経営陣とは独立した立場で客観的に検討し、意見を述べることを心がけています。
建設業界では、労務・人件費の高騰、時間外労働の上限規制、建設技能労働者の減少など、多くの課題を抱えています。マンション建設事業は、人口減少、建設用地の減少など、成長性の観点からは厳しい見通しもあります。そうした厳しい時代だからこそ、当社の強みである、マンション用地の情報取得と提供、魅力あるプランの提案、確かな施工技術により、安全・安心なマンションを提供し、社会に貢献し続ける必要があると思いますので、社外取締役として、できる限りのサポートをしていきたいと考えています。
今期は中期経営計画(NS計画)の最終年度であり、次期経営計画に向けた議論を行うことが多くなる予定です。当社が社会の変化に対応し、持続的に成長していくには、不動産関連事業、サービス関連事業、海外関連事業などでの成長も重要です。事業領域ごとの当社の強み、成長性、資本効率の考え方など、投資家の方々にも理解していただけるよう丁寧な情報発信が必要と感じており、株主目線で積極的に議論に参加したいと思います。
社外取締役として役員・従業員の皆さんと接していると、「当社は他社にあまり類を見ない強みを二つ持っている」ということを感じます。
一つ目は、地権者の方々と誠意を持って対応して得た土地にマンションを建設してデベロッパーの方にお渡しするという独自のビジネスモデルを持っているという強みです。長谷工コーポレーションという社名は知らなくても、「マンションのことなら長谷工」というコマーシャルソングを知らない人はほとんどいません。
二つ目は、二十数年前に企業としての存亡の危機を経験しているという強みです。この経験を踏まえて事業展開の要所要所で取締役会等のチェックが働くシステムが確立されています。
一方、今後の市場環境等を勘案すると、新たな分野へのチャレンジなしでは当社のより一層の発展は望むべくもありませんし、社会全体の変化のスピードは速さを増すばかりです。
そのような中、この二つの強みに固執しすぎると大きなビジネスチャンスを失ってしまいかねません。しかし、当社の事業運営の源泉は、この二つの強みであることを常に心して事に当たることが肝要です。
幸い、役員・従業員の皆さんは、このことを十分に認識して業務を推進されていますが、企業経営の主要事項に関して監督・助言する社外取締役として、今後も当社がこの二つの強みをベースに持続的に発展し、それを通じて企業価値の一層の向上を図ることができるよう努めてまいります。
当社では、取締役会の実効性分析・評価のため毎年全取締役と監査役に対してアンケート調査を実施しています。本年のアンケート調査でも、取締役会の機関設計に関わるものや、審議の充実度等に関して様々な意見が寄せられていましたが、私が最も驚いて印象に残っているのが、自由記載欄への意見投稿の多さです。以前に比べ何倍にも増えていました。これは、取締役や監査役の当事者意識が大きく高まっていること、また、取締役会の風通しが良くなって自由闊達な議論が醸成されていることを物語っています。中には、社外取締役からの意見や質問に端を発し、幅広い意見交換に繋がっているとのコメントもあって、とても嬉しく思います。現在の当社経営陣には、課題として気付いていなかったことは改善する、また、社会や市場からの新たな要請にも真摯に取り組もうという謙虚さがあると思います。
元来当社が得意とする従業員の数値目標達成への前向きなエネルギーを活かした経営とが良いスパイラルアップとなって更に信頼される会社になれるよう今後も応援します。
マンションに係る事業は、設計、着工から物件の引渡しまでを含め事業の期間が長く、その間の市場環境の変化等がリスクとなります。また、取得した土地には時価の変動や流動性が高くないといったリスクがあります。さらに、マンション建設に当たっては周辺の皆さんへのていねいな対応が欠かせません。
当社は、早くから土地持ち込み特命受注方式というビジネスモデルを確立し、長年の創意工夫と経験によりこうしたリスクや課題に対応し、国内ナンバーワンのマンション施工実績を持つ企業となっています。
しかしながら、当社を取り巻く状況は年々歳々変化してきており、これらのリスクや課題への対応方策についても不断のチェックと見直しが欠かせません。
その上、近年は資材・労務費の高騰、受注環境の激化が著しく、また、水害、土砂災害や震災が各地で頻発しています。さらに、少子化、高齢化、人口減少の進展により、地域社会の存立、各業界における人材の確保等に大きな影響が発生しつつあります。
こうした多岐にわたる課題に適切に対処するため当社は様々な方策を講じていますが、私たち社外取締役も知見を持ち寄って業務をチェックするとともに、適切な助言をしていくことが必要であると考えています。
また、取締役会等における議論や検討の成果等を適宜発信・説明することで関係者や市場の理解や評価が高まり、当社の持続的成長につながっていくものと考えます。
マンションに係る事業は長谷工グループの中核であり、今後ともこうした努力を続けていくことによりグループの総合力を高め、株主を始めとするステークホルダーの期待に応えることができるよう、今後とも努めてまいります。