こんにゃくのアク抜き。基本の下ごしらえの方法は?
こんにゃくを料理に使うときの下ごしらえの方法をご紹介します。
こんにゃくのアク抜き。基本の下ごしらえの方法は?
「うちのご飯は世界イチ」の番外編、お料理の基本をご紹介するミニレッスンへようこそ。
第78回は、「こんにゃくの下ごしらえ(アク抜き)の方法」です。こんにゃくの臭みを取り、味を染み込みやすくする下ごしらえの方法をご紹介します。
はぁ…。
どうしたのパパ、お鍋見ながらため息ついちゃって~!
あれっ、これ筑前煮じゃない!作ったの?
うん…。久しぶりに食べたくなって作ってみたんだけど、なんだかこんにゃくのニオイが強くて美味しくなくてさ…。
マサキ、こんにゃくはちゃんとアク抜きしたかい?
アクが残ったままだと、臭みの原因になるんだぜ!
えっ、そうだったの?全然知らなかった…!
フラッキー、アク抜きのやり方を教えて!
ガッテン承知!さっそく、イチから教えていくぞ!
よーし!しっかり覚えて、美味しい筑前煮を作れるようになってやる!
こんにゃくのアク抜きの方法
おでんや筑前煮などの煮物から、炒め物や炊き込みごはんまで、幅広い料理に使える食材・こんにゃく。より美味しくこんにゃくを食べるためには、きちんとアク抜きしておくことが必要です。アク抜きすることで、独特の臭みや、えぐみを取り除くことができます。さらに、アク抜きの過程で余分な水分が抜け、味が染み込みやすくなるというメリットもありますよ。
また、こんにゃくのなかには「アク抜き不要」として売られているものがあるのはご存じですか?このようなこんにゃくは、臭みの原因であるこんにゃくの凝固剤に、一般的な消石灰(水酸化カルシウム)ではなく、ホタテの貝殻から作られた貝殻焼成カルシウムを使用しているという特徴があります。貝殻焼成カルシウムを使用したこんにゃくは、アク抜きをしなくてもこんにゃくのニオイをかなり抑えることができるのです。しかし、一般的なこんにゃくはアク抜きが必要です。アク抜き不要の表記がないこんにゃくは、必ずアク抜きを行ないましょう。
そこで今回は、塩もみと下ゆでによる代表的なアク抜きの方法をご紹介します。
●「こんにゃくを使った人気レシピ」はこちら
材料
- こんにゃく
- 1枚
- 塩
- 大さじ1
塩もみの手順
- 塩もみをするときは、必要であれば料理に合わせた大きさにこんにゃくを切ります。その際に包丁を使わずにスプーンを使って、こんにゃくを端から押すようにして一口大にちぎる方法もあります。
-
ボウルにこんにゃくを入れます。次に、塩を全体にまぶしてもみ込みましょう。
塩もみをすることで、こんにゃくに含まれる余分な水分と臭みを取ることができます。
- サッと水で洗って、全体の塩を落とします。
下ゆでの手順
-
鍋に水を入れ、沸騰させます。そこに、塩もみをしたこんにゃくを入れましょう。
下ゆですることで、まだ残っているアクや臭みを取ることができますよ。
- 中火で2~3分ゆでます。
- ゆで上がったら、ざるに入れて水気を切りましょう。粗熱が取れたらアク抜きの完了です。
電子レンジでアク抜きする方法は?
「できるだけ簡単にアク抜きを済ませたい!」というときは、電子レンジで下処理することもできますよ。まず一口大にちぎったこんにゃくを、耐熱皿に入れます。次に、こんにゃくが被るくらいの水を加えましょう。ラップをかけたら、500Wに設定した電子レンジで加熱します。加熱時間の目安は、こんにゃく100gあたり2分程度。加熱後、ざるに上げて流水で洗い流したら、アク抜き完了です!よりしっかりアク抜きしたいときは、こんにゃくを塩もみしてから、電子レンジで加熱するようにしましょう。
こんにゃくの保存方法
「開封したけれど、こんにゃくが使い切れずに残ってしまった…」という経験がある方もいるのではないでしょうか。そのようなとき、残ったこんにゃくはどのように保存すればよいかご存じですか?
こんにゃくを保存するときのポイントは、冷凍庫ではなく冷蔵庫に入れること。実はこんにゃくを冷凍すると、水分が抜けて、かたいゴムのような食感になってしまうのです。
なかにはあえてこんにゃくを凍らせて、噛み応えのあるヘルシー食材として用いる場合もありますが、こんにゃくならではの食感をキープするには、やはり冷蔵庫での保存が適しています。そんな長持ちするこんにゃくの正しい冷蔵保存方法を次で見ていきましょう。
冷蔵保存の手順
残ったこんにゃくは、水を張った保存容器に入れて、ラップなどをかけて冷蔵庫に入れます。このとき、水道水ではなく、こんにゃくの袋に入っていた封入水を使うようにしましょう!この封入水は殺菌作用があり、水道水を使うよりもこんにゃくの品質を保ちやすくなります。封入水を捨ててしまった場合は、水道水を入れて、2~3日おきに取り替えながら保存しましょう。
保存期間の目安は、水道水の場合は約1週間で、封入水の場合はそれ以上は持ちますが、早めに使い切るようにしましょう。
こんにゃくを使った人気レシピ
しっかりアク抜きをすれば、中まで味が染み込んだこんにゃく料理を作ることができますよ。筑前煮やステーキなど、こんにゃくを使ったおすすめレシピをご紹介します!作り方も簡単で、手軽に作れるものを集めましたので、ぜひお試しください。
筑前煮
鶏肉を一口大に切って、油を引いた鍋で加熱します。鶏肉の表面の色が変わったら、適当な大きさに切ったごぼう、にんじん、れんこん、アク抜きしたちぎりこんにゃくを加えてください。全体に油がまわったら、酒、みりん、砂糖、水を入れ、蓋をして煮立たせます。煮立ったら醤油を入れて、落し蓋をして中火で20分程度煮込みましょう。煮汁が少なくなるまで煮込んだら、できあがりです。
こんにゃくのステーキ
こんにゃくに包丁を横向きに入れて、半分の厚さになるように切ります。両面に格子状の切り込みを入れたら、サイコロ状に切って、アク抜きをしてください。
フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れ、中火にかけます。香りが立ってきたら、こんにゃくを入れて、両面こんがりと焼きましょう。最後に醤油と酒を入れて、味付けしたら完成です。
こんにゃくのきんぴら
ごま油を引いたフライパンを熱します。鷹の爪を入れて香りが立ったら、アク抜きしたちぎりこんにゃくを加えてください。醤油、酒、砂糖を入れて、汁気がなくなるまで炒めたらできあがりです!
炊き込みごはん
といだ米を炊飯器に入れて、酒、塩、みりん、醤油を加えます。米の分量に合った水を注いだら、1cm角に切った鶏肉、にんじん、油揚げ、しめじ、アク抜きしたこんにゃくを加えて、軽く混ぜます。そのまま炊飯して、炊きあがったら10分程度蒸らして完成です。
豚汁
油を引いた鍋に、適当な大きさに切ってアク抜きしたこんにゃく、大根、にんじん、ごぼう、里芋を入れて軽く炒めます。一口大に切った豚肉を加えて色が変わったら、だし汁を入れましょう。煮立ったら火を弱めて、味噌を加えます。野菜がやわらかくなるまで煮たら、油揚げ、ねぎを加えてひと煮立ちさせてください。器に盛ったらできあがり!
「こんにゃくのアク抜き」に関するよくある質問
こんにゃくのアク抜きに関するよくある質問をまとめました。
簡単なこんにゃくのアク抜き方法とは?
まず、ボウルにこんにゃくを入れ、塩を全体にまぶしてよくもみ込みます。十分にもみ込んだら軽く水で洗い、全体の塩を落としましょう。その後、沸騰させたお湯に塩もみをしたこんにゃくを入れ、下ゆでをします。中火で2~3分ゆで、ゆで上がったら、ざるに入れて水気を切り完成です。
電子レンジでできるアク抜きの方法は?
一口大にしたこんにゃくを、耐熱皿に入れ、こんにゃくが浸るくらいの水を加えます。ラップをかけ、500Wに設定した電子レンジでこんにゃく100gあたり2分程度加熱します。最後にざるに上げて流水で洗い流せば完了です。
こんにゃくのアク抜きのゆで時間は?
中火で2~3分程度行ないましょう。
こんにゃくにアク抜きが必要な理由はなぜ?
こんにゃくは、アク抜きをすることで、より美味しく食べることができます。なぜなら、アク抜きすることで、独特の臭みや、えぐみを取り除くことができるからです。また、アク抜きの過程で余分な水分が抜け、味が染み込みやすくもなります。
こんにゃくのアクは体に悪いの?
こんにゃくのアクは体に影響はありません。なぜならこんにゃくのアクは、こんにゃくの原料であるこんにゃく芋のえぐみや臭み、こんにゃくの凝固剤によるものだからです。
こんにゃくの保存方法とは?
こんにゃくは、冷蔵庫で保存するようにしましょう。こんにゃくを冷凍してしまうと、水分が抜けて、かたいゴムのような食感になってしまいます。こんにゃくは、こんにゃくの袋に入っていた封入水を張った保存容器に入れて、ラップをかけてから、冷蔵庫で保存しましょう。封入水を捨ててしまった場合は、水道水を入れて2~3日おきに取り替えれば問題ありません。こんにゃくは、水道水の場合は約1週間保存がききます。
こんにゃくのアク抜きをしないとどうなる?
こんにゃくのアク抜きを怠ると、料理の仕上がりが大きく変わってしまいます。こんにゃく芋特有のえぐみやニオイが料理に残ったり、味染みが悪くなったりするので、こんにゃくを料理に使う場合には必ずアク抜きを行ないましょう。
よーし、今日の筑前煮は前回と違ってよい出来だぞ!
しっかりアク抜きしたこんにゃくで作った筑前煮、ご賞味あれ!
うん!雑味がなくて、とっても美味しい!
パパ、名誉挽回だね!
こんにゃく、おいしい~!
マサキ、なかなかやるじゃないか!
味もよく染みてるぞ!
やった~!
じゃあ、次はこんにゃくステーキとこんにゃくきんぴらも添えて、こんにゃくフルコースを作っちゃおうかな?
それはやり過ぎ~!
用語解説
- えぐみとは
- 味覚のひとつ。アクがある苦味のこと。野菜や山菜特有の苦味を表す際によく用いられる。
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監修
森崎 繭香
お菓子・料理研究家/フードコーディネーター
【HP】 http://www.mayucafe.com/
料理教室講師、パティシエを経て、フレンチ、イタリアンの厨房で経験を積み、独立。
書籍、雑誌やWEBへのレシピ提供、テレビ・ラジオ出演など幅広く活動中。カフェやレストランでの経験を軸に、身近な材料を使った自宅でも作りやすいレシピを心がけている。
「野菜たっぷりマリネ、ピクルス、ナムル」(河出書房新社)、「いつものスープでアレンジレシピ60」「小麦粉なしでつくる たっぷりクリームの魅惑のおやつ」(ともに日東書院本社)、「型がなくても作れるデコレーションケーキ」(グラフィック社)など著書多数。