2024年07月29日
株式会社長谷工コーポレーション(本社:東京都港区、代表取締役社長:池上 一夫、以下「当社」)は、1階~3階をRC造、4階~7階を木造とRC造のハイブリッド構造とした賃貸マンション「(仮称)目黒区中央町一丁目計画」(東京都目黒区、地上7階・総戸数101戸、以下、「本プロジェクト」)の木造箇所の施工に2024年7月より着手いたしました。なお、木造箇所は、当社グループの株式会社細田工務店(本社:東京都杉並区、代表取締役社長:野村 孝一郎)にて施工しており、上階4層の専有部を木造・RC造のハイブリッド構造としたプロジェクトは当社初となります。
本プロジェクトでは、全101戸の住戸のうち、3分の1を超える36戸を木造住戸としており、木造施工箇所において①木造の壁全てを非耐力壁とし間取りの自由度と更新性を確保、②木造高遮音二重床システムによる遮音性能を確保、③耐火木造の壁や床を貫通する特許工法の採用などに取り組んでおります。またCO2排出量削減など環境負荷低減にも寄与しており、木を採用することで、試算上約442t-CO2(約31,000本のスギが1年間に吸収する量に相当)を貯蔵できるほか、RC部分に当社独自開発の環境配慮型コンクリート「H-BAコンクリート」(特許取得済)を採用することで、採用箇所において従来のコンクリート比で約20%のCO2排出量削減を可能としています。
なお、本プロジェクトは、普及拡大段階の木造化技術を活用したプロジェクトとして、国土交通省が実施した「令和4年度第3期 優良木造建築物等整備推進事業」に採択されております。
当社は今後も、「都市と人間の最適な生活環境の創造」に向け、気候変動対応を重要な経営課題と位置付け、2050年カーボンニュートラルを目指し、木造建築の推進を図ってまいります。
【本マンションの特長】
1. 上層4層木造のハイブリッド木造
本プロジェクトでは、4階~7階に計画した木造部分をRC造で挟んだ、木造とRC造のハイブリット構造となっており、同規模の全層RC造と比較して約19%の重量軽減を実現しました。住戸部分の壁は全て非耐力壁としており、プランの自由度と更新性を保ちながら施工性向上にも寄与しております。また、木造積層バルコニーの採用や、一部の木造外壁を国産木材体積比50%以上の窯業系サイディングで仕上げるなど、環境にも配慮した構造としており、約442t-CO2(約31,000本のスギが1年間に吸収する量に相当)を貯蔵できるほか、RC部分に採用した「H-BAコンクリート」により、従来のコンクリートと比較して約20%のCO2排出量削減を可能としています。
2. 専有部に木造高遮音二重床システムを採用
専有部は、在来木軸工法による木造高遮音二重床システム(特許出願済)を採用しております。本システムは、音の振動による伝搬を減らすように「構造床」と「二重床」の重量バランスを最適化し、「吊天井」と「構造床」を分離して設置することで、一般的にRC造に比べ遮音性能が劣るといわれている木造の遮音性能を高め、RC造と同等の性能を実現しています(実験室試験値)。また、建築基準法の告示に書かれた防火材料である、強化せっこうボード2 枚張りの耐火被覆による1 時間耐火構造とし、耐火性能も確保しております。
3.耐火木造建築物向け設備開口部工法の取り組み
木造中高層集合住宅においては、火災時の安全性を最優先にしながら施工にも配慮した設備貫通工法が求められています。そこで1時間耐火構造の木造中空床を貫通する「耐火木造建築物向け排水集合管」(特許出願済)及び耐火外壁を貫通する「断熱スリーブを使用した省施工耐火外壁開口工法」(特許出願済)を開発し本マンションに採用しました。1時間耐火構造の木造中空床等を貫通させる場合、従来は「メンブレン耐火被覆※」を採用していましたが、施工に手間が掛かるため、「メンブレン耐火被覆」を不要とした新工法です。
※非加熱側への遮炎性のみならず、床壁内部への火熱の進入により耐火構造としての性能が損なわれないよう、配管貫通部の周囲を強化せっこうボード等にて要求耐火時間に適合する厚さ、枚数の防火被覆を連続的に施す方法
4.長谷工版BIMシステムを木造集合住宅にも拡張
本プロジェクトに合わせて長谷工版BIMシステムを木造にも対応できるように拡張し、基本設計・実施設計にて活用しました。仮設計画、楊重計画、施工工程を検討する段階では、仮設部材を加えた設計施工BIMモデルを作成し、効果的なシミュレーションを実施いたしました。今後は、木造部分のBIMモデルを木材プレカット工場に渡すフローを構築し、データ連携による生産性向上に努めて参ります。
5.H-BAコンクリートの採用
普通ポルトランドセメントと高炉セメントB種を併用することで、CO2排出量が約20%削減できる、当社独自 開発の環境配慮型コンクリートを採用しています。本プロジェクトでは、RC造部分にH-BAコンクリートを約4,600㎥採用することで、約230tのCO2排出量削減を見込んでおります。
6.令和4年第3期 優良木造建築物等整備推進事業※の採択
本プロジェクトは、普及拡大段階の木造化技術を活用したプロジェクトとして令和4年度第3期の優良木造建築物等整備推進事業に採択されております。
※中高層・大規模木造建築物整備の促進を目的として、普及拡大段階の木造化技術を活用したプロジェクトを支援する、国土交通省が行う補助事業
【木造化・木質化への取り組み】
長谷工グループでは、2014年よりマンションの木造化に取り組み、これまで、マンションの共用棟の木造化や住棟の一部若しくは最上階をRC造と木造のハイブリッド構造にするなどの実績を積み上げてきました。
今後も、2020年に長谷工グループ入りした細田工務店による取り組みを基本に、新築マンションにおける木造化・木質化を積極的に推進するとともに、既存マンションでの木造化・木質化についても検討を進めることで、マンション事業を通じたサステナブルな社会環境構築に寄与してまいります。
【物件概要】
名 称:(仮称)目黒区中央町一丁目計画
所 在 地:東京都目黒区中央町一丁目591-14(地番)
交 通:東急東横線「学芸大学」駅より徒歩11分
構造・規模:RC造 一部木造(ハイブリッド構造)地上7階建
戸 数:101戸
着 工:2023年3月27日
竣 工:2025年3月(予定)
事 業 主:株式会社長谷工コーポレーション
株式会社長谷工アネシス
設計・施工:株式会社長谷工コーポレーション
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