2021年05月21日
長谷工グループ(代表企業:㈱長谷工コーポレーション、本社:東京都港区、社長:池上 一夫)は、安全・安心、快適な住まいづくりの一環として、"マンション居住者が住まいながら耐震化できる"技術開発を進めております。このたび、眺望を損なわず、住まいながらの工事が可能な独自の耐震補強工法「長谷工ノンブレース補強フレーム工法」(特許出願中)を新たに開発しました。加えて、一般財団法人 ベターリビングの評定(CBL RC004-19号)を取得し、本工法による補強後の耐震性能は妥当であると認められました。
「長谷工ノンブレース補強フレーム工法」は、バルコニーの床スラブ下に幅広扁平梁と補強柱、補強間柱で構成した補強フレームを既存建物のフレームに直付けする耐震補強工法です。
その特長は、①バルコニー側の眺望を損なうことが少ない、②住戸内の工事が不要なため、居住者が住まいながら工事が可能、③既存の補強工法に比べ、コストを抑制、④既存建物の解体・撤去を最小限に抑え環境にも配慮、などがあります。
耐震性が心配される既存マンションにおいて、耐震診断や耐震補強工事が進みにくい要因としては「改修工事の費用がない」、「診断費用がない」、「耐震診断に関する関心等が低い」、「居住者の高齢化のため関心等が低い」などが挙げられています(東京都都市整備局 2013年3月マンション実態調査結果より)。
今後は、耐震補強が必要とされる既存マンションに対して、「長谷工ノンブレース補強フレーム工法」の開発および評定取得について周知を図るとともに、個別の状況・ご要望に応じて他の耐震補強工法も合わせて、最適な提案を積極的に行ってまいります。
本工法は、眺望を妨げる斜めの筋交いを用いることなく補強間柱を配置することで、補強効果の調整が可能となり、幅広扁平梁と補強柱、補強間柱で構成した補強フレームを施工することで耐震性を向上させる耐震補強工法です。また、本工法は、条件を満たせば、既存の工法のように新設する補強フレームを基礎まで設置せず中間階での設置が可能となります。
【一般財団法人 ベターリビングの評定取得】
評定の取得にあたっては、長谷工コーポレーションの技術研究所(東京都多摩市)にて、試験体による構造性能実験を行い、本工法が耐震性を向上できることを確認し、長谷工ノンブレース補強フレーム工法の耐震補強設計手法や施工・品質管理の要領等を盛り込んだ設計・施工指針を取りまとめました。一般財団法人 ベターリビングによって、その設計施工指針に示されている適用範囲、耐震補強設計方法及び補強後の耐震性能の評価は妥当なものと認められました。(CBL RC004-19号、2021年3月31日付)
【これまでに開発・提案している“住まいながら耐震補強”が可能な工法】
◆組立て鉄筋を使用した、そで壁付柱の耐震補強工法(有効期間:2021年4月)(更新手続中)
柱とそで壁(※1)を一体として補強することで、せん断強度を高め、建物の耐震性能を向上させる工法です。わずか数cmの壁厚増でありながら、効果的な耐震補強効果が得られます。
財団法人日本建築防災協会の技術評価(建防災発第16022号)を取得しました。
(※1) そで壁:玄関脇などに設けられた、躯体からそでの様に少し突き出した壁
【本工法のメリット】
・住戸内の工事が不要で「居住しながら耐震補強」が可能
・わずか数cmの壁厚増で補強可能
◆「後施工部分スリットによる柱の耐震補強工法」(有効期間:2021年2月)(更新手続中)
本工法は、完全スリット工法(※2)と同等の耐震補強効果が得られ、かつ住戸内に影響を及ぼさない部分スリット工法です。一般財団法人日本建築防災協会の技術評価(建防災発第16051号)を取得しました。
(※2)完全スリット工法:構造体である柱と非構造体である腰壁を完全に切り離す)
【本工法のメリット】
・住戸内の工事が不要で「居住しながら耐震補強」
・住戸内に入ることなく、共用廊下側から施工可能
・施工時間が短く、仕上りもきれい
・工事中の騒音や振動が少ない
◆粘弾性ダンパーを使用した耐震補強工法(有効期間:2021年12月)
粘弾性ダンパー(※3)と呼ばれる装置を用いて、制震構造の原理により耐震補強を行う工法です。
その仕組みは、粘弾性ダンパーで地震エネルギーを吸収し、建物に作用する地震力を低減させ建物の耐震性能を向上させます。共用部分を補強するだけでよいため、住まいながらの工事が可能です。ビューローベリタスジャパン(株)の建築技術性能証明(第BVJ-PA10-001号)を取得しました。
(※3) この工法は、(株)長谷工コーポレーション、東急建設(株)、(株)コンステックの3社共同で技術評価を取得しました。また、使用する粘弾性ダンパーは、(株)コンステックと住友ゴム工業(株)が開発したものです。
【本工法のメリット】
・住戸内の工事が不要で「居住しながら耐震補強」が可能
・集合住宅に適した間柱型の粘弾性ダンパーを使用
◆柱増打ち補強工法(有効期間:2024年11月)
開放廊下およびバルコニーに面する柱の外側方向に鉄筋コンクリートを増打ちし、柱の厚みを増すことで地震発生時の柱の変形性能を向上させる耐震補強工法です。東京建築検査機構の評定を取得しました(第TBTC評定14001-1号)
【本工法のメリット】
・住戸内の工事が不要で‘住まいながら耐震化’が可能
・他の外付け耐震補強工法(外フレーム補強工法)などと比べて安価
・本工法と開発済みの「後施工部分スリットによる柱の耐震補強工法」との組み合わせにより、 更に耐震性能を向上させることが可能
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