2024年01月24日

 株式会社長谷工コーポレーション(本社:東京都港区、代表取締役社長:池上 一夫、以下「当社」)と株式会社カネカ(本社:東京都港区、代表取締役社長:田中 稔、以下、「カネカ」)は共同で、住戸内の照明環境による、お住まいの方への入眠や疲労低減効果について検証を開始します。なお、本検証は、国内初※1既存企業社宅を全面改修し建物運用時CO2排出量実質ゼロを実現した賃貸マンションプロジェクト「サステナブランシェ本行徳」(千葉県市川市)の居住型実験住戸にて実施しており、照明は、カネカの有機EL照明(OLED照明)を住戸内に初めて採用しています。

 当社グループは、長期ビジョン〜2030年3月期に目指す姿〜として、ハード・ソフト両面から「住まいと暮らしの創造企業グループ」へと飛躍することを目指しております。これまで、ウェルビーイングの観点から、睡眠の質向上やリラックス効果の可能性について「快眠のための家」や「バーチャル森林浴」などハードとソフトを融合した新たな形を検証しており、今般、住戸内の照明環境向上も重要な要素と捉え、検証を開始しました。

 サステナブランシェ本行徳の居住型実験住戸では、睡眠の質を高めるメラトニン※2の分泌を抑制しにくいとされるOLED照明をリビング、キッチン、寝室などに設置し、メラトニン分泌量や睡眠中の脳波を測定することにより、良質な睡眠に誘うための入眠効果やリラックスによる疲労低減効果を検証します。なお、検証結果を踏まえ、当社グループが手掛ける設計施工マンションや戸建てなどへの導入も検討していきます。

 当社は今後も、IoT機器やAI技術を最大限生かし、マンションから取得できるデータを活用した新たな価値の創造に向けた検討を進めることで、「LIM(Living Information Modeling)」を通じた"暮らしの最適化"の実現に向け、取り組みを加速してまいります。

【OLED照明の特長】
・広い面積で均一に光り、配光が広く光が周りに広がるため、光が眩しくない。
・低照度でも文字などを識別しやすく視認性が高い。
・光が拡散することで、強い影ができにくい。
・低色温度の光により副交感神経の活性化し、リラックス効果が期待できる。
・厚さわずか1.1mm※3と薄く、軽い。


※1 2022年6月13日時点 ㈱ESP総研調べ(調査期間:2022年5月23日~6月6日、調査方法:「集合住宅またはマンション」「再生可能エネルギー」「リノベーションまたは改修」のキーワードによる公開情報検索および多面的な市場調査による)
※2 メラトニンは副交感神経の働きを強める作用があり、分泌されることで副交感神経が活性化し身体も脳もリラックス状態となる。良質な睡眠を確保するために必要不可欠な物質。睡眠ホルモンとも呼ばれる。
※3 コネクタの厚さを除く

【生体リズムに与える影響】
昼夜の変化に合わせて体内の環境を変動させる「生体リズム」のうち、生活習慣や健康との関わりが深いのが約24時間周期の概日リズム(サーカディアンリズム)とされていますが、人間の体内時計の周期は約25時間といわれています。この1時間のずれを解消するには、本来休息すべき夕方から深夜に就寝し、翌朝に太陽の光を浴びることがよいとされています。
サーカディアンリズムと関係が深いメラトニンは、日中は分泌量が低く、夜間に分泌量が十数倍に増加するといわれています。カネカのOLED照明は、このメラトニンの分泌を抑制しにくいことから、睡眠の質向上とサーカディアンリズムの調節作用が期待されています。

なお、OLED照明とLED照明の比較では、OLED照明がLED照明と比べ 30.8% メラトニン抑制率が低いという結果が得られました。
この結果は、カネカと奈良県立医科大学 疫学・予防医学講座の大林賢史特任准教授との共同研究の成果※4となります。
※4 日本睡眠学会第45回定期学術集会・第30回日本時間生物学会学術大会 合同大会にて発表

【OLED照明の照度について】
カネカのOLED照明は、人の目の感度が高い青緑領域(480-570nm)の光成分が多く、低照度でも文字などを識別しやすい、視認性の良い光です。
面発光でこの波長領域の一定成分以上はカネカが特許登録しており、カネカにしかできない独自のスペクトル※5です。また、拡散光のため、直射光と比べ手元に影ができにくく、作業時や学習時の集中力向上も期待できます。

※5 成分の波長や、質量、エネルギー準位など特徴となるある量の大小に従って順に並べたもの

【OLED照明の視認性の検証】
光が拡散することで手元に影ができにくくやわらかい光でも視認性が高いという特長から、照らされた物の反射が少なく資料や商品などが見やすいため、読書灯やタスクライト、棚下照明などに適しています。サステナブランシェ本行徳では、共用部のコワーキングスぺースに採用し、作業性の検証も行っています。


(サステナブランシェ本行徳 概要)
所在地: 千葉県市川市本行徳5-16
交 通: 東京メトロ東西線 妙典駅 徒歩6分
敷地面積: 1,651.83㎡(499.68坪)
延床面積: 3,071.06㎡(928.99坪)
構造・戸数: 鉄筋コンクリート造 地上5階建36戸
既存建物: 1990年2月
竣工時期: 2023年9月
事業主: 株式会社長谷工コーポレーション
設計・施工: 株式会社長谷工リフォーム
プロジェクトホームページ:https://www.haseko.co.jp/sustainabranche/
 
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