2023年11月01日
長谷工グループ(代表企業:㈱長谷工コーポレーション、本社:東京都港区、社長:池上 一夫)が、既存マンションの価値向上と、新たな住まい価値創造に向けた研究・技術開発の更なる推進を目的とした、国内初※1の既存企業社宅を全面改修し建物運用時のCO2排出量実質ゼロを実現する賃貸マンションプロジェクト「サステナブランシェ本行徳」(以下、「本マンション」という。)が、2023年9月に竣工いたしましたことお知らせいたします。
本マンションの改修工事は、マンションの大規模修繕・改修工事で数多くの実績がある、当社グループの株式会社長谷工リフォーム(本社:東京都港区、代表取締役社長:河合 英樹)が設計施工いたしました。当社グループがこれまで培ってきたマンション建設や修繕などのノウハウを活かしながら、脱炭素社会の実現に寄与するマンションの省エネルギー化に向け、環境に優しいリノベーション「GREEN RENOVATION(グリーン リノベーション)」を行っております。
また、本マンションでは、全36戸のうち13戸を、未来をつくる居住型実験住宅「RESIDENCE LABO(レジデンスラボ)」として建物内に設置し、それぞれの部屋で異なる検証を行います。建物の長寿命化技術や省エネ技術、ウェルネス住宅技術ほか、IoT機器やAI技術を最大限生かし、LIM※2を通じた"暮らしの最適化"を実現するため、実際の居住環境から得られるさまざまなデータを新たな住まい価値創造に向けた研究・技術開発に活かしていきます。
当社グループは、これからも住まいと暮らしのさらなる可能性に向けて、本マンションで得た知見も生かし、新たなマンションづくりに挑戦していきます。
※1 2022年6月13日時点 ㈱ESP総研調べ(調査期間:2022年5月23日~6月6日、調査方法:「集合住宅またはマンション」「再生可能エネルギー」「リノベーションまたは改修」のキーワードによる公開情報検索および多面的な市場調査による)
※2 マンションに人々が住み始めてからの建物の状態や設備の利用状況、更には人の動きなど、マンションが持っている暮らしに関する情報を活用する概念
【「GREEN RENOVATION」「RESIDENCE LABO」の主な取り組み】
<共用部>
・屋上・壁面・ガラス手摺太陽光発電
屋上に設置している太陽光発電は、勾配屋根の角度に合わせて南東面、北西面の両面に設置して発電量の平準化を図るとともに、反射光を利用できる両面受光型の太陽光発電パネルとすることで発電量の増加も図りました。壁面は、太陽光の反射による眩しさを低減するための防眩加工※を施した太陽光発電パネルをサイディングと組み合わせて配置し、デザイン面にも配慮。最上階のガラス手摺は、光を透過するシースルータイプを採用しており、スペースを有効活用する取組みも行っています。
・排水管逆流防止システム
ゲリラ豪雨などにより下水管を流れる排水が逆流し建物内に流れ込むような事態が発生した際、逆流防止桝に設置したセンサーがその状況を感知し、各住戸に設置されたインターホンやお住まいの方が利用できる当社独自開発アプリ「まいりむアプリ」に各住戸の排水制限をお知らせするシステムです。これまでは下水管の逆流状況が把握できないことで、オーバーフローした後や建物内が浸水した後に対応せざるを得ないこともありましたが、このシステムにより、被害が発生する前の、早期の防災対策をとることができます。
・AI画像認識による異常検知システム
お住まいの方や宅配業者など、マンションに入ることの多い特定人物を予め顔登録することで、エントランスに設置した顔認証カメラが特定の人物をだけをマンション内に入れることができます。また、マンション内に設置したセキュリティカメラの画像からAIが異常を検知し、建物オーナーやお住まいの方に通知することなどにも取り組みます。
・純水素燃料電池(2023年10月23日公表プレスリリース)
発電効率56%と高発電効率な純水素燃料電池を導入。発電時にCO2を排出しない水素の利用によりカーボンニュートラルにも寄与。
・バーチャル森林浴(2023年10月25日公表プレスリリース)
共用部内に投影された自然空間に、音と香りを加え、自然への没入体験を演出。ウェルビーイングの観点でのリラックス効果が得られるか検証。
<居住型実験住戸>
・IoT+AI Smart Housing
東洋大学情報連携学 学術実業連携機構(略称:INIAD cHUB)坂村学部長と共同で、住戸内の設備をIoT化することで、全てAIから制御可能な居住型実験住宅。さまざまな角度で次世代スマートホームのコンセプト検証やデータ収集を行い、新たな住まい価値創造に向けた研究・技術開発を推進します。
・『長谷工×テレビ朝日』サステナブルアート
テレビ朝日が2022年4月よりSDGs施策として取り組む【art to ART Project】とのコラボにより、番組廃材や建築廃材をアート内装材として利用。廃棄物削減に向けた手法の一つとして、その有効性を検証しています。本マンションでは、番組廃材を503号室の壁面アートや104号室の玄関のアート装飾に、建築廃材である既存樹の松の木を、503号室のアート建具や和紙クロスに利用しています。
・TOPPAN「CheercleTM」(チアクル)による持続的な健康への取り組み
生活動線上に健康情報を計測できるIoTデバイスを配置し、自然に健康データを収集、蓄積するTOPPAN「CheercleTM」(チアクル)を導入検証。自ら計測する煩わしさがなく、また、蓄積された健康情報を利用することで、お住まいの方の良好な健康状態をサポートします。更に、本マンションにおいては、「生活習慣病予防」や「医療連携」の領域における試作サービスの実証も行います。
<その他>
・構造ヘルスモニタリングシステム
建物内の一部のメーターボックス内に地震発生時の建物の揺れを計測する加速度センサーを設置することで、本マンションでの正確な震度を計測。地震発生直後の迅速な対応が可能になるとともに、地震収束後もこのデータを利用した適切な復旧計画や修繕計画を立てることができます。
【サステナブランシェ本行徳におけるLIMの検証】
当社では、マンションに人々が住み始めてからの建物 の状態や設備の利用状況、更には住まう方のライフログ(暮らしデータ)など、マンションの暮らしに関する情報を活用する概念をLIM(Living Information Modeling)と呼んでいます。マンションから得られる情報はLIM CLOUDに蓄積・集約され、そのデータを分析・加工することで、住まう方への安全・安心・快適な暮らしを提供や、建物の資産価値維持・向上に活かします。
本マンションでは、「防犯対策の充実」・「物流効率化への貢献」「その他(IoT 機器制御による照明・温湿度・映像による睡眠の質・疲労回復効果の検証)」の3点から、国土交通省が実施する「令和4年度第2回サステナブル建築物等先導事業(次世代住宅型)」における「次世代住宅プロジェクト2022」に採択されており、LIMを通じた“暮らしの最適化”実現に向け取り組んでいます。
(プロジェクト概要)
所在地: 千葉県市川市本行徳5-16
交 通: 東京メトロ東西線 妙典駅 徒歩6分
敷地面積: 1,651.83㎡(499.68坪)
延床面積: 3,071.06㎡(928.99坪)
構造・戸数: 鉄筋コンクリート造 地上5階建36戸
既存建物: 1990年2月
竣工時期: 2023年9月
事業主: 株式会社長谷工コーポレーション
設計・施工: 株式会社長谷工リフォーム
プロジェクトホームページ:https://www.haseko.co.jp/sustainabranche/)
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