2023年07月20日

 株式会社長谷工コーポレーション(本社:東京都港区、代表取締役社長:池上 一夫、以下「当社」)は、エア・ウォーター株式会社、株式会社 STIフードホールディングス、積水化学工業株式会社、三井住友信託銀行株式会社、三井物産株式会社、株式会社三菱UFJ銀行と共に、株式会社FRDジャパン(本社:埼玉県さいたま市岩槻区、代表取締役: 洋一/十河 哲朗、以下「FRD」)による第三者割当増資を引き受けることを決定しました。増資総額210億円のうち、当社の引受予定額は50億円です。また、FRDは、複数の金融機関とブルーサステナビリティファイナンス(海洋保護や持続可能な水産業に資する事業資金の調達)の枠組みを活用した融資契約を締結しました。今回調達する資金は、本年7月を目途に着工予定のサーモントラウトの陸上養殖商業プラント(千葉県富津市、年間生産量3,500トン規模)の建設資金に加え、運転資金や研究・開発・投資資金等(現在運営中の実証実験プラントや将来の大規模プラント展開に備えた支出を含む)に充当予定です。

 世界的な人口増加や生活水準の向上を背景に、良質な動物性タンパク源である水産物の需要は年々増加し、水産養殖の重要性が高まっています。とりわけ、国内でも年間30万トン規模の消費量があるサーモン類は、海水温が高いアジアでは夏季の海面養殖が難しく、養殖サーモン類の大部分がノルウェーやチリ等の寒冷地から輸入されており、海面養殖の適地が限られ供給力に限界があるといった課題が存在します。陸上養殖では水温コントロールにより、海に依存せず環境への負荷が低いサーモン類養殖を通年行えるようになり、なおかつ消費地近郊にプラントを立地させることで、輸送に伴う温室効果ガス削減等にも寄与することが出来ます。陸上養殖は、サステナブルな水産物の生産手法として注目されています。

 FRDは2018年より、千葉県木更津市および埼玉県さいたま市にて、サーモントラウト実証実験プラントを運営してきました。実証実験プラントでは、これまで20世代以上の魚を養殖し、バクテリアを活用した独自の閉鎖循環システムによって理想的な水質環境を維持することで、サーモントラウトが安定生産できることを実証してきました。閉鎖循環型陸上養殖は、一般的な循環型陸上養殖と比較して豊富な取水源が不要の為、場所を選ばず、また、換水を大幅に減らすことで電気使用量を削減、病原菌侵入リスクを大幅に減少させることが可能となります。今回の商業プラントを皮切りに、日本を含むアジア圏を中心に大規模プラントの複数展開を目指しています。

 当社グループは、「住まいと暮らしの創造企業グループ」として、住まいと暮らしに不可欠な食と環境についても大きな関心をもってまいりました。滋賀県たなかみ地域において、滋賀県に「環境こだわり農産物」として認証されたお米「たなかみ米」の生産・販売を行う子会社「株式会社長谷工あんしんデリ」を経営するほか、官民連携協定を締結している奈良県明日香村にて、遊休農地を貸農園として活用する「長谷工明日香コミュニティファーム」の運営や村内産野菜の販売等も協力して行っております。

 また、現在進行中の中期経営計画(NS計画)において、成長性のある事業領域への新規投資やCSR経営を掲げておりますが、閉鎖循環型陸上養殖は、近年急速に拡大する社会のニーズに応える次世代の新しい技術であり、なおかつ環境負荷を抑えた自然資本の創出と供給により食および環境のサステナビリティにも貢献する事業である為、当社の方針とも合致すると考え、本引受けを決定いたしました。

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