2005年10月21日
長谷工コーポレーションは、コンクリートを現場で打設する在来型の工法で、工期を最大約40%短縮できる「マンションEC工法」※を開発しました。1フロアの躯体工事にかかる日数は6~7日で、従来の当社標準13日を半減することが可能です。現在、東京都大田区で建設中の分譲マンション新築工事(物件名称:ガーデンホーム大森スカイビュー、鉄筋コンクリート造、地上13階、52戸)で実用化しました。将来は1フロア6日程度まで短縮するとともに、内装工事などと合わせてトータルに工期短縮を図り、将来的には工期を従来の2分の1にまで短縮したいと考えております。※ ECはEarly Completion(早期完成)の略
事業主のマンション工事に対する工期短縮の要請は、依然として根強いものがあります。一般的に、工期短縮には工業化手法が効果的ですが、工事費が割高となるという課題がありました。このため当社では在来型の工法で「工期を2分の1にしよう」を合言葉に、基礎・躯体・内装までの一貫した対応で研究開発に取り組んでまいりました。当社の41万戸の施工実績をもとに独自のノウハウを集大成し、当社技術研究所(埼玉県越谷市)で施工実験を行い工法の有効性を確認し、新たな工法として構築しました。
今回の「マンションEC工法」では、建設地内の作業ヤードで柱・梁・壁の鉄筋やトラス梁付デッキを先組みし、鉄筋接合には機械継手を採用することで工期短縮を実現します。また、外部階段にPCa(プレキャストコンクリート)、キャンティスラブのハーフPCaを採用、さらに型枠付スライド足場を採用し省力化します。今後は、躯体や内装だけでなく基礎工事、外構工事まで含めてトータルで工期短縮を図り、工期2分の1を目指していきます。
本工法の採用によって、(1)事業資金の回転が早まる(2)売上げ時期の前倒しが可能になる(3)金利負担が軽減する――といった工期短縮のメリットが生まれます。また、採用コストは6-10%程度のアップにとどめ、しかも工事現場においては、高所作業が減少するため安全性が高まるほか、廃棄物の発生が少ない環境配慮型の工法となっています。
今回の初採用によって、最大約40%の工期短縮に見通しをつけることができました。当社が標準とする15階建ての場合は、在来工法で14ヵ月の工期が8.5ヵ月で完成させることが可能となります(特殊要因による工期を除く)。本工法の採用には、作業ヤードの確保や躯体デザインが複雑でないことなどの条件はあるものの、工期日程が厳しい物件をターゲットに、当社設計・施工の強みを生かした採用提案をマンション事業主に対して積極的に行なってまいります。
【「ガーデンホーム大森スカイビュー」 施工状況について】
「ガーデンホーム大森スカイビュー」の杭着工から工事完了までの工期は、在来工法の場合では12.9ヵ月必要です。本工事では建物規模や作業ヤードに制約があるものの、「マンションEC工法」の採用によって9.4ヵ月となり、3.5ヵ月(約30%)の工期短縮が可能になります。現在進行中の躯体工事サイクルは7日ですが、10階以上は6日に短縮する予定です。
また、内装工事でも2フロアを1セットとして同時に仕上げる新しい施工法を採用してまいります。
【躯体工事サイクル】
〈1日目〉 柱・梁先組鉄筋の取り付け、先組み耐震壁の取り付け、
小梁取り付け、妻壁鉄筋取り付け
〈2日目〉 柱・梁、壁型枠工事、妻側足場スライド、階段PCa取り付け、
エレベーターPC建て込み
〈3日目〉 柱・梁・壁の型枠建て込み、スラブ支保工段取り
〈4日目〉 トラス筋付デッキ取り付け
〈5日目〉 キャンティースラブハーフPCa取り付け、内スラブ配筋
〈6日目〉 電気設備、配筋検査、段差型枠
〈7日目〉 コンクリート打設
【「ガーデンホーム大森スカイビュー」 物件概要】
▽事業主=マツヤハウジング(株)、伊田テクノス(株)
▽建設地=東京都大田区大森西2丁目217番3、9
▽敷地面積1,273.16m2
▽建築面積=489.47m2
▽建築延床面積=3,820.43m2
▽構造・規模=鉄筋コンクリート造13階建
▽総戸数=52戸(管理室1戸含む)
▽設計・監理=(株)長谷工コーポレーション
▽施工=長谷工コーポレーション
▽着工=平成17年4月末
▽竣工予定=平成18年3月下旬
【「ガーデンホーム大森スカイビュー」外観完成予想図】
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