2025年問題が問うもの

~次世代へのバトンタッチ 事業承継に潜む世代・地域間格差~

2025年03月28日 / 『CRI』2025年4月号掲載

CRI'S FOCUS

目次

2025年は団塊世代が全て75歳を迎え人口の約18%が後期高齢者となることで2025年問題と言われている。
今月号は高齢化時代における事業承継の課題についてデータを読み解いていきたい。

中小企業経営者の高齢化が進行しており、経営者年齢のピークはこの20年間で50代から60~70代へと大きく上昇している。平均年齢は60.5歳であり、過去最高を更新した(2023年現在)。経営者年齢が70歳以上である企業の割合は、2000年以降最高となっており、事業承継が必要となる企業は相当数存在している(図1)

経営者の高齢化により次世代へのバトンタッチが求められているが、後継者不在率は2018年以降改善しているものの、2023年時点でも依然として高い水準であり、54.5%が後継者不在となっている(図2)

都道府県別後継者不在率が最も高いのは島根県で、全国平均を大幅に上回る75.1%。次いで高いのは鳥取県の71.5%だったほか、山口県も65.3%で山陰地方の不在率の高さが目立った。一方で不在率が低いのは三重県の29.4%で、地域金融機関が密着して事業承継の支援を行っていることや、比較的安定した経営や商圏を持っている企業が多く、親族が経営を継ぎやすい環境が整っているほか、事業承継支援ネットワークが構築されていることがその要因とされている(図3)

少子化の影響で子供がいない、或いは子供が事業を継ぐ意思がないケースが増加しているが、事業承継には高度な経営スキルと専門知識が求められることから、政府・自治体のバックアップや早期の事業承継計画の策定、同族に依らない広く承継者を募る仕組みの強化をしていく必要がある。