2025年問題が問うもの

~超高齢化社会を支える「ビジネスケアラー」の事情~

2025年02月28日 / 『CRI』2025年3月号掲載

CRI'S FOCUS

目次

2025年、団塊世代が全て75歳となることで人口の約18%が後期高齢者となる超高齢化社会を迎えた。
そこで今月号は超高齢化社会に潜む諸課題についてデータを読み解いていきたい。

高齢化や生産人口の減少を背景に、就労と介護を両立する「ビジネスケアラー」の増加が社会的課題として顕在化している。経済産業省によると2030年時点で約9兆1,792億円の経済損失が試算されており、特に仕事と介護の両立困難による労働生産性損失額はその86%ほどを占めることが見込まれている。家族介護者の合計人数は年々増加をしており、ビジネスケアラーの割合は2025年には約38%(300万人超)に達する見通しであり、その数は2030年にピークを迎えるとされている(図1)

図1 出所:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年4月推計)中位推計」、総務省統計局「就業構造基本調査(平成24年、平成29年)」、厚生労働省「雇用動向調査(平成25年~令和3年)」

年齢階層別の分析では2025年時点で50~54歳が最も多く、同年齢層人口の約15%に相当すると試算される。また2020年から2025年にかけて40~49歳の年齢層で人数が約倍増しており、急激な変化が見られた(図2、図3)。この年齢層は企業において中核の役割を担う世代であり、かつビジネスケアラーの大多数が59歳以下の正規雇用者であることを鑑みると、企業活動への影響は看過できない可能性が示唆される。

図2 出所:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年4月推計)中位推計」及び総務省統計局「就業構造基本調査(平成24年、平成29年)」

キャプションキャプション

図3 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年4月推計)中位推計」推計値と総務省「人口推計(2025年1月報)」を基に長谷工総合研究所にて試算。