マンションのリノベーションとは?リノベ済み物件の購入との違いも解説

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マンションのリノベーションは、近年の不動産・建築などの業界で注目度の高いキーワードです。 しかし、リノベーションはリフォームと混同されることがあります。不動産に関心を持つ方の中にも「具体的な意味や概要はよく分からない」という方がいるのではないでしょうか。 また、リノベーションには「自分でリノベーションを実施する」だけではなく、「リノベーション済み物件を買う」という選択肢もあります。 この記事では、まずリノベーションとリフォームの違いや、リノベーション市場が急成長している理由などを紹介します。その上で、「中古マンションに自分でリノベーションをする場合」と「リノベーション済み中古マンションを買う場合」のメリット・デメリットを解説します。

 

リノベーションは、英語で「renovation」と表記します。建築業界では「マンションなどの既存建築物を改修して価値を向上させること」を意味する言葉として、使われています。

 

具体的には、以下のように間取りや設備を大きく変えるような改修工事がリノベーションとなるでしょう。

 

・家族が増えるため部屋数を増やす
・リモートワークのために、新たに仕事スペースをつくる
・和室と台所の仕切りをなくし、広いダイニングキッチンにする など

 

 

リノベーションと混同されやすい言葉に、リフォームがあります。

 

リフォーム(reform)は「老朽化した部分を改修して、新築の状態に近づけること」です。設備に関して例を挙げると、リフォームが「新築時の状態に戻す・機能回復」をさせるものであるのに対して、リノベーションは「性能が良いものや現代風にレベルアップ」をさせるものを指します。

 

この2つを規模で比べると、一般的にリノベーションの方が大がかりな工事になるでしょう。また、リノベーションには、躯体構造だけの状態から自分好みの施工を行なう「フルスケルトン」という工事方法もあります。

 

 

 

近年、中古マンションのリノベーション市場は急成長を遂げており、新築マンション市場を抜いて、今後さらに成長拡大するといわれています。その理由について、詳しく見ていきましょう。

 

 

 

かつての日本では「夫が外で働き、妻は専業主婦」という家庭が一般的でした。これにより、夫の収入が増えた時期に郊外の新築物件を購入し、夫だけが都心へ通勤するケースが多かったのだと考えられます。

 

そこから、時代の流れとともに共働き夫婦が増加しました。子どもがいる場合には、子どもの送り迎えなど、日々の子育てを夫婦で協力して行なう必要があることから、双方が通勤しやすい立地に中古物件を購入する家族が多くなっています。

 

また、核家族化の進行により、購入した中古住宅の部屋数を減らして、広い部屋をつくりたいと希望する方も多くいます。さらにコロナ禍以降は、リモートワークの普及や働き方の変化によって、自宅にオフィス環境をつくるようなリノベーション需要も増加しました。

 

 

 

近年は、ロシアのウクライナ侵攻などにより建築資材の価格が高騰していることから、工事費用も高騰してしまっています。

 

また、人手不足といった課題からマンション建設における工期が伸び、引き渡しが遅れてしまう可能性も否定できません。

 

こうした背景から、安く、そして早く仕上がりやすい中古マンションのリノベーションが注目されています。

 

 

 

近年では、人気のアパレルショップや雑貨ブランドなどが、中古マンションのリノベーションに携わることが増えました。こうしたショップやブランドは認知度が高いため、人々の関心が集まりやすいでしょう。

 

さらに、これらの企業が手がけた物件がメディアで紹介されることで、中古マンションのリノベーション自体のイメージが向上し、市場の成長にもつながっています。

 

 

 

マンションのリノベーションをする際には「中古物件をリノベーションする場合」と「リノベーション済み物件を買う場合」の2つの選択肢があります。

 

そのため「リノベーションされたマンションに住みたい」と考えてこれから物件探しをするのであれば、両者の違いを理解した上で、自分に合うマンション物件を見つけることが大切です。

 

ここからは「中古物件をリノベーションする場合」と「リノベーション済み物件を買う場合」のメリット・デメリットをそれぞれ見ていきましょう。

 

 

 

中古マンションをリノベーションする方法には、以下の2種類があります。

 

・業者に工事を依頼する方法
・DIY感覚でセルフリノベーションする方法

 

これらの多くに共通するメリット・デメリットは、以下の通りです。

 

 

 

中古マンションは、新築物件と比べると数や種類が豊富です。そのため、たくさんの選択肢から希望に沿う物件を選べます。

 

自分の工夫や頑張り次第でコストを下げやすい点も、購入価格が決まっている新築物件との違いでしょう。特にセルフリノベーションでは、自身で材料をそろえたり、持っている工具を活用したりできるため、よりコスト面でのメリットが大きくなります。

 

また、間取り・デザインの自由度が比較的高く、自分の好みやライフスタイルに合わせて変更できる点も、中古物件をリノベーションする大きなメリットの一つです。

 

 

 

新築・中古にかかわらず、マンションを購入する際には、住宅ローンを利用する方が多いでしょう。しかし、リノベーション費用まで住宅ローンに含められるとは限りません。

 

住宅ローンの対象外となり、リノベーション資金の借り入れが必要な場合は、リフォームローンの利用が次の選択肢になりますが、リフォームローンは住宅ローンと比べると金利が高くなりがちです。

 

したがって、中古マンションのリノベーションで住宅ローンを使いたい場合には、リノベーション費用を含められるかどうかを早めに確認しておく必要があるでしょう。

 

また、中古マンションで基本的にリノベーションを行なえるのは、玄関ドアの内側からサッシ内側までの専有部分のみです。さらにマンションでは、戸建てと違って動かせない柱・配管・設備も少なくありません。

 

自分好みかつ自由なリノベーションを求めるなら、どこまでの施工ができるのかを事前にチェックしておくことも重要です。

 

 

リノベーションされている中古マンションの購入にも、当然ながらメリット・デメリットがあります。

 

 

 

自分でリノベーションを実施する際に必要となる、以下の手間がかからない点はメリットといえるでしょう。

 

・工事業者探し
・間取りの検討
・打ち合わせ など

 

セルフリノベーションであれば、工事業者を探したり打ち合わせをしたりする必要はありませんが、設備材料の手配や工事自体は自分で行なわなければなりません。こうした手間や時間がかかることを考えると、すぐに住みはじめられるリノベーション済みのマンション購入は利点が大きいといえます。

 

また、リノベーション済みマンションでは、購入後に前居住者の使用感や臭いを感じることもありません。新築により近い形で、快適な新生活をスタートさせられるでしょう。

 

その他、費用面のメリットも大きいでしょう。新築マンションと比較して安い価格で購入できる上に、自分でリノベーションをする必要がないため、資金計画も立てやすくなります。「リノベーション費用を住宅ローンに含められるか」と悩む心配もありません。

 

 

 

リノベーション済み物件は、普通の中古マンションと比べると物件数はそう多くありません。希望のエリアで、必ず販売されるとは限らない点に注意が必要です。

 

また、リノベーション済みの物件は、販売会社などが考えたコンセプトや企画に沿ってデザインされることが多いでしょう。そのため、家族の人数やライフスタイルにマッチする、希望どおりの物件に出合うのは難しいという問題もあります。

 

中には、以前の状態や工事過程が分からないことに不安を感じる方もいるでしょう。自分でリノベーションを行なわない分、以下の点をチェックする必要があります。

 

・保証の有無
・適合リノベーション住宅かどうか
・どこをどのようにリノベーションしたのか など

 

 

今回は、近年注目されている中古マンションのリノベーションについて、「買った物件を後から施工する方法」「施工済み物件を買う方法」のメリット・デメリットなどを解説しました。

 

近年は、家族形態やライフスタイルの変化、新築価格の高騰などの要因から、リノベーションに注目する企業が増えています。

 

また、紹介した2つのリノベーション方法には、それぞれ一長一短があります。ぜひこの記事を参考に、ご自身のライフスタイルに合うものを選んでみてください。

 

 

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監修者

高槻 翔太

<保有資格>

  • 宅地建物取引士
  • FP技能士2級
  • 日商簿記2級

<プロフィール>

不動産・建設会社で土地有効活用のコンサルティング営業経験(6年)。売買や駐車場の活用、リフォームの提案などに従事。不動産・金融特化のライターとして不動産系メディアでの執筆実績多数。

撮影:ホリバトシタカ