理想の物件に出会い、しっかりと準備をしたつもりで購入したマンションでも、いざ入居してみると思わぬ欠点が見つかり、後悔してしまうケースがあります。マンションは大きな買い物であるため、どのような「後悔パターン」があるのかを知り、失敗を回避することが大切です。 この記事では、マンションの購入で後悔するパターンを、さまざまな観点から紹介します。マンションの購入を後悔しないためのポイントや、万が一後悔してしまったときの対処法も解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
INDEX
- マンション購入の後悔(1)物件に関すること
・間取りに関する後悔
・駐車場や駐輪場に関する後悔
・共用施設に関する後悔
・住民に関する後悔 - マンション購入の後悔(2)周辺環境に関すること
- マンション購入の後悔(3)家計に関すること
・住宅ローンや税金に関する後悔
・修繕費や修繕積立金に関する後悔 - マンション購入の後悔(4)購入のタイミングに関すること
・独身前提で購入したことによる後悔
・子どもが生まれる前に購入したことによる後悔
・転勤・転職による後悔
・子どもの独立や退職による後悔 - マンションの購入を後悔しないためには?
- マンションの購入を後悔したときの対処法
・マンションを売却する
・マンションを賃貸に出す - まとめ
■マンション購入の後悔(1)物件に関すること
ここでは、マンションの物件そのものに後悔してしまうケースを、4つのパターンに分類して紹介します。
◇間取りに関する後悔
購入したマンションで実際に暮らし始めてみると、以下のように、自分たちの生活スタイルに合わない点に気付くことがあります。
・動線が不便で生活や家事の効率が悪い
・コンセントの数が足りない、必要な場所にない
・居室の数は多いがそれぞれが狭く、使い勝手が悪い など
また、小さな子どもがいる家庭では、例えば、キッチンとリビングがつながった間取りでないと、家事をしているときに子どもの様子が見えにくく不安になるかもしれません。
家具や荷物がどこに・どれくらい入り、どのような生活を送るかをイメージできていないと、間取りで後悔しやすいでしょう。
◇駐車場や駐輪場に関する後悔
マンションを購入する際、部屋のチェックはしっかりとしていても、駐車場や駐輪場の確認は不十分なケースがあります。
駐車(駐輪)台数・サイズに制限があることや、駐車(駐輪)場所が抽選制であることを知らなかった場合、いざ駐車場や駐輪場を使おうとしたときに困ってしまいます。家族全員の車や自転車を停められないと、手放す必要が出てくるかもしれません。
また、駐車場が機械式のマンションでは、「入出庫に想像以上に時間がかかる」といった後悔が生じることも考えられます。
◇共用施設に関する後悔
一定の高さがあるマンションには、建築基準法に基づきエレベーターが設置されています。特に、高層階で暮らす方にはエレベーターがあると便利ですが、エレベーターの待ち時間が長いと、外出・帰宅時にストレスになることがあるでしょう。
また、フィットネスジムやゲストルームなどの特別な施設がある場合、「利用しないのに管理費を支払わなければならない」と不満に思う方もいるかもしれません。
このように、各種共用施設に関する後悔もよくあるパターンです。
◇住民に関する後悔
マンションでは、上階や隣室から発生する以下のような騒音により、生活に支障が出る可能性があります。
・掃除機などの稼働音
・子どもの足音
・ペットの鳴き声
・楽器の音 など
また、一部の住民のマナーが悪く、マンションの共有部分が散らかっていたり、ゴミ出しのルールが守られていなかったりするケースもあるようです。加えて、住民同士のトラブルがあると、住み心地が悪くなるでしょう。
■マンション購入の後悔(2)周辺環境に関すること
マンション購入では、周辺環境に後悔するパターンもあります。周辺環境を事前に調査していても、平日と休日、朝・昼・晩の時間帯の違いによって、購入前のイメージと異なる点が出てきやすいため注意が必要です。例えば、以下のようなケースが挙げられるでしょう。
・休日は思ったよりも人通りが少なく、暗くなってからの外出に不安がある
・夜間から明け方にかけて、人が集まり騒がしいことを知った など
また、マンションの近くにある施設や店舗などが原因で、思わぬ悩みが生じることもあります。
例えば、警察署や病院が近くにある場合は、パトカーや救急車が頻繁に行き来し、サイレン音がうるさいと感じるかもしれません。また飲食店が近くにある場合は、調理によるニオイが部屋に入ってきたり、洗濯物に付いたりしやすいでしょう。
そのほか、マンション付近の空き地や、建物が取り壊された場所に新しい建物が建ち、日当たりや眺望があとから悪くなるケースも考えられます。
■マンション購入の後悔(3)家計に関すること
◇住宅ローンや税金に関する後悔
マンションの住宅ローンの返済や固定資産税などの支払いで、当初の想定よりも家計が厳しくなることがあります。固定資産税は、「戸建てではないからそれほどかからないだろう」という思い込みに要注意です。
また、子どもがいる家庭では、成長にともない以下のような支出が増加するでしょう。
・入学時の初期費用
・部活にかかる費用
・習い事にかかる費用
・食費 など
夫婦共働きの前提で資金計画を立てていても、何らかの事情で、どちらかが仕事を辞めざるを得ない状況になる可能性もあります。もしものときに対応できる金銭的な余裕がないと、家計が回らなくなり、「マンションを購入しなければよかった」と後悔してしまうかもしれません。
◇修繕費や修繕積立金に関する後悔
マンションの専有部分(住人が専用で使用できる部屋内)の設備や内装は、自分で修繕・交換しなければなりません。築年数が経過した中古マンションの場合は、新築マンションよりも早めに修繕費がかかってくるでしょう。
また、見落としがちなのが、共用部分(エントランスや階段、エレベーターなど専有部分以外の場所)の大規模修繕工事のために負担する「修繕積立金」の値上げです。修繕積立金は、計画的・段階的に値上げされるものですが、材料費や人件費の高騰などにより、積み立ての途中で予定外の金額の見直しがあることも想定されます。
■マンション購入の後悔(4)購入のタイミングに関すること
マンション購入は、タイミングによっても後悔につながるケースがあります。
◇独身前提で購入したことによる後悔
「自分は結婚せず独身のままだろう」と思い、一人暮らし用のマンションを購入する方もいます。
しかし、将来は誰にも予想できません。良い出会いがあり結婚することになった場合は、一人暮らし用のマンションでは手狭になるでしょう。
◇子どもが生まれる前に購入したことによる後悔
大人だけの家庭と子どもがいる家庭とでは、適した物件は異なります。特に、高層階のマンションを購入した場合に、以下のような後悔が生じやすくなります。
・ベランダや窓から子どもが転落しないか不安である
・幼い子どもやベビーカーを抱えた状態で上り下りするのがつらい
・子どもの足音や騒ぎ声が他の居室に響いていないか気になる など
また、保育園や幼稚園、公園、病院など、子育てに必要な施設が近くにない物件を購入していた場合は、不便に感じやすいでしょう。
◇転勤・転職による後悔
通勤時間や通勤経路をチェックしたうえで、勤めていた会社の近くにマンションを購入したものの、転勤・転職するケースも考えられます。その結果、通勤に時間がかかるようになったり、治安が悪い道を通らなければならなくなったりと、問題が生じるかもしれません。
また、転勤・転職によって働き方が変わり、テレワークがメインになると、マンションの個室が足りなくなる可能性があります。
◇子どもの独立や退職による後悔
マンションを購入してからそれほど経たないうちに、子どもが独立して家を出たり、自身が退職したりするケースでも、後悔することがあります。
具体的には、子育て環境を重視して物件のエリアを選んだ場合、子どもが独立してからは、メリットを感じにくくなってしまうでしょう。また、自身の退職後は通勤の利便性などを考えなくてよいため、より落ち着いたエリアに暮らしたくなるかもしれません。
■マンションの購入を後悔しないためには?
マンションの購入を後悔しないためには、入念に下調べや資金計画を立てることが大切です。
モデルルームや現地には、納得がいくまで何度も足を運んで問題ありません。できれば、平日と休日、朝・昼・晩の様子を一通りチェックしましょう。物件が完成する前に購入する新築マンションの場合は、購入後にイメージと違う点が出やすいため、より注意が必要です。
マンションの住民や周辺の建設計画などに関する情報は、売り主や不動産会社の協力を得ると把握しやすくなります。
また、今と同じ生活がずっと続くわけではないため、将来についても考えておくことが大切です。資金面も含め、今後の変化に対応できる余裕を持っておきましょう。
なお、次章とも関連しますが、将来的な変化に備えて「売却しやすい物件」を購入するのも、マンション購入の後悔を回避するコツといえます。
■マンションの購入を後悔したときの対処法
最後に、マンション購入で後悔している方に向けて対処法を紹介します。
◇マンションを売却する
購入したマンションを売却し、新たな物件に住み替える方法です。マンションを売却すれば、売却代金を住宅ローンの返済や新居の購入費用に充てられます。
マンションの売却には数ヵ月程度の期間を要するといわれているため、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
◇マンションを賃貸に出す
マンションを購入したが、現在の生活スタイルに合わず住み替えを検討しているが、いずれ戻って住む可能性がある場合などは、マンションを賃貸に出すのもよいでしょう。その際、不動産投資ローンへの借り換えによって、もとの住宅ローンを完済するのが一般的です。
なお、需要の高い物件でないと、入居者が見つからずに十分な家賃収入を得られない点に気を付けましょう。
■まとめ
マンションの購入では、大きく分けて「物件(間取りや住民など)」・「周辺環境」・「家計」・「購入タイミング」の4つにおいて、後悔してしまうケースがあるでしょう。
マンションの購入を後悔しないためには、モデルルームや現地に納得がいくまで何度でも足を運び、売り主や不動産会社とも協力して入念に下調べをすることが大切です。また、将来的な変化に対応できる、余裕のある資金計画を立てましょう。
万が一、マンションの購入を後悔している場合は、不動産会社に相談し、売却や賃貸に出すことを検討してみてはいかがでしょうか。
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監修者
高槻 翔太
<保有資格>
- 宅地建物取引士
- FP技能士2級
- 日商簿記2級
<プロフィール>
不動産・建設会社で土地有効活用のコンサルティング営業経験(6年)。売買や駐車場の活用、リフォームの提案などに従事。不動産・金融特化のライターとして不動産系メディアでの執筆実績多数。
撮影/ホリバトシタカ