マンションのリフォーム費用はどれくらい? 金額の相場と費用を安く抑えるポイント

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設備の老朽化やライフスタイルに合わせた間取りの変更など、マンションをリフォームする事情は人によってさまざまです。マンションをリフォームするにあたり、どのくらいの費用がかかるのかが気になる方もいるのではないでしょうか。 リフォームにかかる費用は、工事内容や規模によって異なります。少しでもリフォーム費用を抑えたいのであれば、あらかじめ予算を設定しておくとともに、設備や建材のグレードを下げたり、補助金を有効に活用したりすることが大切です。 当記事では、マンションのリフォーム方法や規模に応じた費用の相場、費用を安く抑えるポイント、リフォームに関する注意点について解説します。

リフォーム参考01

 

マンションのリフォームと一口に言っても、部位別リフォームとスケルトンリフォーム(フルリフォーム)の2種類に分類されます。リフォーム方法によって費用は異なるため、事前にどちらの方法でリフォームをするのか考えておくことが大切です。

 

ここでは、各リフォーム方法の特徴と違い、費用相場について解説します。

 

 

 

代表的なリフォーム方法である、スケルトンリフォームと部位別リフォームの特徴について見ていきましょう。

 

 

・スケルトンリフォーム(フルリフォーム)

 

スケルトンリフォームとは、天井や床、壁を壊し、躯体(骨組み)だけを残した状態からリフォームすることを指します。内装を新築同様にリフォームしたり、間取りを変更したりできるところが特徴です。

 

工期は1ヵ月半~2ヵ月ほどかかるケースが一般的です。工事前の打ち合わせにも2ヵ月以上の時間がかかることがあります。また、内装を壊して骨組みだけの状態にするため、リフォーム中は仮住まいを用意しなければなりません。

 

なお、内装を一新するフルリフォームと、スケルトンリフォームは同じ意味です。

 

ただし、リフォームとリノベーションに関しては、定義に明確な違いがある点を押さえておきましょう。リフォームには老朽化した建物や設備を新しくする、リノベーションには工事によって既存の建物に付加価値を与えるという意味合いがあります。

 

 

・部位別リフォーム

 

部位別リフォームとは、設備の交換や部屋単位の内装工事など、部分的にリフォームすることです。スケルトンリフォームとは異なり、部位ごとのリフォームであれば工事中でもマンションに住み続けることが可能です。

 

部位別リフォームが可能な場所としては、以下が挙げられます。

 

・キッチン
・浴室、洗面台
・トイレ
・床(フローリングなどの張り替え、床暖房の設置など)
・内装(洋室・和室への変更など)

 

 

 

マンションのスケルトンリフォームの費用は、1平米当たり15万円程度が相場です。そのため、マンションの面積に1平米当たりの単価をかけると、おおよその費用をつかむことができます。なお、1LDKは30~50平米以下、2LDKは約60平米、3LDKは60~70平米以上が面積の目安です。

 

ただしスケルトンリフォームの費用相場はあくまでも目安であり、選択する設備や建材のグレードなどによって費用は変動します。

 

また、近年洗面台などの水回り設備を扱うメーカーでは、物価上昇の影響で商品を値上げしている状況です。さらに、大工の人材不足も重なり、住宅リフォームの費用は2020年から4年で約15%も上昇したという報道もあります。

 

スケルトンリフォームを検討する際は、工事費用に加えて設備の価格も含めて予算を決める必要があるでしょう。

 

 

 

間取りの変更をともなうリフォームでは壁の撤去と補修・設置作業が発生するため、費用が上乗せされることが一般的です。壁の撤去・設置には、1ヵ所当たり10~30万円ほどの費用がかかります。間取りの変更は規模によって費用が大きく変わる傾向にあり、400万円以上かかるケースもあります

 

また、マンションの構造や設備の関係上、間取りの変更が難しいケースも少なくありません。間取りの変更にともなう設計費として、リフォーム費用に10~20%ほど上乗せされる場合もあります。

 

 

 

部位別リフォームの具体的な費用は、施工場所や施工面積だけでなく、選択する設備のグレードや使用する建材によって大きく変動します。ただし、水回りのリフォームに関しては、複数の場所をまとめて依頼すると費用を安く抑えられるケースが少なくありません。

 

 

 

マンションのリフォームにかかる費用を安く抑えたいのであれば、以下のポイントを考慮しましょう。

 

 

 

費用の相場はあくまでも目安であり、設備や建材のグレードしだいで変動します。そのためリフォーム費用を安く抑えたい場合には、グレードの低い設備を選ぶのも選択肢のひとつです。

 

水回りの設備を例にすると、既製品のユニットバスを選択する、浴槽を安価な建材の物にする、機能がシンプルな給湯器にする、メーカーにこだわらないなどの方法が挙げられます。

 

また、新しい設備や建材でリフォームするのではなく、既存の物を再利用する方法も有効です。例えば、フローリングを張り替えずに上から重ね張りをする、汚れていない壁や天井はリフォームをしない、ガスコンロやレンジフードを再利用するなどが挙げられます。

 

ただし、リフォームで雰囲気が新しくなったところに、既存の物があると古さが目立つ可能性があります。結果的に買い換えることになるケースも少なくないため、費用の安さだけを考えるのではなく、リフォーム後の状態も考慮して再利用を検討しましょう。

 

 

 

リフォームを考える際は、具体的な予算を決めておきましょう。予算の範囲内でできる内容でリフォームすれば、無駄な費用が発生することはありません。

 

また、部位ごとにリフォームする場合、どの場所を優先するか決めることも大切です。リフォームをしたい場所を欲張ると、費用はいくらでも膨らんでしまうためです。

 

また、追加工事が発生した場合の支払い、スケルトンリフォーム時の仮住まい先を借りる費用や引越し代など、予備費も含めて予算を立てるようにしましょう。

 

 

 

リフォームをする目的や内容によっては、国や自治体が実施する補助金と減税の制度を利用できます。マンションのリフォームで使える、補助金と減税制度の概要は次のとおりです。

制度 概要 補助限度額
長期優良住宅化リフォーム推進事業 マンションの省エネ化など性能向上リフォーム、子育て世帯のリフォームなどを支援 ・評価基準型:80万円/戸
・認定長期優良住宅型:160万円/戸
既存住宅の断熱リフォーム支援事業 省エネ効果が見込まれる断熱材、ガラス、窓、玄関ドアなどを用いた断熱リフォームを支援 ・項目高性能建材の窓・玄関ドア:15万円/戸
・蓄電システム:20万円
・蓄熱設備:20万円
・熱交換型換気設備等: 5万円
・EV充電設備:5万円
※すべて補助対象経費の1/3以内
次世代省エネ建材の実証支援事業 省エネリフォームを支援
(集合住宅は内張り断熱のみ)
125万円/戸
※補助対象経費の1/2以内、下限額は20万円
居宅介護住宅改修費(介護予防住宅改修費) 手すりやスロープの設置など、介護に適したリフォームを支援 支給限度基準額:20万円
※支給額は支給限度基準額20万円の9割の18万円を上限とする
先進的窓リノベ2024事業 断熱窓のリフォームで省エネ化を促進する制度 5万円から最大200万円まで/戸
給湯省エネ2024事業 省エネ性能の高い、高効率給湯器の導入を支援 ・ヒートポンプ給湯機(エコキュート):8万円/台
・電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機):10万円/台
・家庭用燃料電池(エネファーム):18万円/台
※集合住宅はいずれか1台まで
※撤去費用、性能加算額の補助あり

<減税措置>

減税措置 概要 控除の限度
リフォーム促進税制(所得税) 耐震、バリアフリー、省エネ、同居対応、長期優良住宅化、子育て対応リフォームが対象 ・バリアフリー:200万円
・バリアフリー以外:250万円
リフォーム促進税制(固定資産税) 耐震、バリアフリー、省エネ、長期優良住宅化リフォームが対象 ・耐震:1/2を減税
・バリアフリー、省エネ:1/3を減税
・長期優良住宅化:2/3を減税
贈与税の非課税措置 父母などの直系尊属からリフォーム資金の贈与を受けた場合が対象 ・省エネ等住宅:1,000万円
・それ以外の住宅:500万円

補助金制度には一定の予算があり、申請をするタイミングによっては受付を中止している場合があるので確認が必要です。

 

なお、上記の制度以外に、自治体が独自でリフォームの補助金や助成金を提供するケースもあります。申請時期や制度の詳細については、自治体のホームページや電話での問い合わせなどで確認しましょう。

 

 

 

マンションは集合住宅であるため、リフォームに対する制限があります。リフォームを検討する段階で、以下の注意点を把握しておきましょう。

 

 

 

分譲マンションであっても、リフォームできるのは専有部分に限られます。ただし、マンションの専有部分であっても、リフォームできる場所とできない場所があるので注意が必要です。

 

専有部分の場所における、リフォームの可否は次のとおりです。

リフォームできる場所と内容 リフォームできない場所と内容
・壁、天井、床の張り替え
・間取りの変更
・内窓の設置
・水回り設備の交換
・玄関ドアの内側の色を変える
・玄関ドアの鍵を変更する
・玄関ドアの交換
・窓のサッシ、窓枠の交換
・ベランダ、バルコニーのリフォーム

ただし、マンションの管理規約により、リフォームできる内容は異なります。どこが共用部分で専有部分なのか、そもそもリフォームは可能なのか、管理規約であらかじめ確認しておきましょう。

 

また、管理規約でリフォームが認められていても、事前に管理組合に申請をして許可を得なければなりません。無許可でリフォームをすると規約違反になり、トラブルが発生する原因になります。

 

 

 

浴室やトイレなど、水回りの設備を移動したい場合は、管理規約にリフォームの規定がないか必ず確認しましょう。

 

水回りの配置を変更できるかどうかは、床下の排水管の位置次第です。排水管は水が流れるように勾配を付ける必要があるため、床下の構造によっては位置の変更が難しいケースもあります。

 

 

 

ここまで解説してきたように、マンションのリフォームを行なうときには管理規約を守らなければなりません。マンションによってできるリフォーム内容は異なるため、トラブルを避けたいのであればマンションリフォームの実績が豊富な業者に依頼しましょう。施工実績が豊富な業者に依頼すると、予算に応じたプランを提案してくれる、施工時のトラブルを防げるなどのメリットがあり、安心してリフォームを行なえるようになります。

 

またリフォーム会社を選ぶ際には、複数の業者から見積もりを取って比較することがポイントです。可能であれば具体的な施工実績を見せてもらい、希望するリフォームが実現しそうかを確認することをおすすめします。

 

 

マンションのリフォーム費用は、スケルトンリフォームで1平米当たり15万円程度が相場とされています。ただし、リフォームをする範囲、設備・建材のグレードなどで費用は変動します。想定以上に費用がかかることを防ぐためにも、事前に決めた予算の範囲内でリフォームできる内容を決めましょう。

 

また、マンションのリフォームを実施する際には管理規約を守る必要があります。マンションによってリフォームできる範囲は異なるため、事前に管理規約を確認することは欠かせません。マンションのリフォーム実績が豊富な業者に依頼すれば、管理規約に基づいて予算に応じたリフォーム内容を提案してくれるので安心です。

 

 

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監修者

高槻 翔太

<保有資格>

  • 宅地建物取引士
  • FP技能士2級
  • 日商簿記2級

<プロフィール>

不動産・建設会社で土地有効活用のコンサルティング営業経験(6年)。売買や駐車場の活用、リフォームの提案などに従事。不動産・金融特化のライターとして不動産系メディアでの執筆実績多数。

 

 

撮影/ホリバトシタカ