特集

2025.03.19

「人口増加数全国1位」大人気の福岡のマンションについてブロガーよかレジに聞いてみた

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100年に一度といわれる再開発など、年々注目度が増す「福岡」。マンション事情や最新の価格相場、注目のエリアについて、福岡のマンションブロガー「よかレジ」さんに教えてもらいました。

――よかレジさんは、福岡のマンションにまつわる情報発信をされていますが、福岡ならではのマンション事情を教えてください。

 

よかレジ:福岡の特徴のひとつは、空港から市街地までの距離が非常に近いことです。そのため、航空法によって建てられる建物の高さが制限されていて、いわゆるタワーマンションも数えるほどしかありません。たとえば、福岡の一等地である大濠(おおほり)公園の周辺には「タワー」と名が付くマンションがいくつかありますが、高くても22〜23階建てです。東京にあるような50階建てクラスのタワマンは規制で建てられないという事情があります。

▲今回、お話を伺ったのは、マンションブロガーよかレジさん。学生時代まで神奈川県で過ごし、東京、大阪を経て2019年4月に「勢い」で福岡に移住。結婚を機に福岡市内のマンションを購入し、趣味が高じて宅建士の資格を取得。個人で福岡市を中心としたマンション購入相談にも応じている。『スムラボ』でも執筆中。X:@yokaresi 

よかレジ:また、福岡のもうひとつの大きな特色として挙げられるのは、積水ハウスが非常に人気があります。1989年に開催されたアジア太平洋博覧会を機に、積水ハウスが主導して百道浜(ももちはま)の開発をしてきた経緯もあり、現在も完全にマーケットリーダーとしてエリアのマンション開発を牽引しています。実際に街を歩いていても、同社が手掛ける「グランドメゾン」を筆頭に、外観からもクオリティの高さを感じるマンションが多い印象ですね。

 

 

――街中のマンションを観察するなかで、変化を感じることはありますか?

 

よかレジ:近年、強く感じるのはデザインの変化です。直近でいえば「グランドメゾン福岡鴻臚館前(ふくおかこうろかんまえ)」や「MJR赤坂ゲートタワー」など、デザイン性が高いマンションが続々と増えている印象です。外観からして、分かりやすくラグジュアリー路線に舵を切っていることが見てとれますね。おそらく福岡だけでなく県外や海外も含めて、目の肥えたお客さんを呼び込む狙いがあるのかなと想像しています。

▲デザイン性の高さが目を引くグランドメゾン福岡鴻臚館前(ふくおかこうろかんまえ)

――福岡県内でマンション建設が活発なエリアというと、やはり福岡市内でしょうか?

 

よかレジ:そうですね。現時点(2025年2月22日)でWebサイトが公開されている福岡県内の新築マンションを調べてみたところ、約45%が福岡市内の物件でした。次いで北九州市が25%、残りが他の市町村という内訳です。つまり、現時点では福岡市内がマンションのマーケットの中心といえると思います。

 

 

――では、福岡市内でも特にマンション建設が目立つエリアを教えてください。

 

よかレジ:まずは地下鉄の「空港線」と「七隈線」の沿線です。特に空港線は博多や天神など、福岡を代表する有名どころの街にアクセスできる人気路線で、文教地区でもある西新(にしじん)エリアではマンション建設も盛んです。

 

また、個人的に注目しているのは「アイランドシティ」です。博多湾を埋め立てて開発されたエリアで、周囲をぐるりと海に囲まれた、まさにアイランドです。電柱の地中化や植栽による街全体の美化、歩行者と自転車の通行路が分かれていたりと、とても整然としていて雰囲気が抜群に良い街だと思います。ネックは鉄道のアクセスで、島のなかには駅がなく最寄りの香椎花園前駅までは徒歩20分以上はかかります。中心地までの移動はマイカーかバスが基本ですね。逆に、そこさえ許容できれば中心エリアと比較して現実的な価格の物件が多く、かなりおすすめのエリアです。

▲福岡内外からの移住者が多く住む「アイランドシティ」

――他にも、よかレジさんのおすすめエリアはありますか?

 

よかレジ:先ほども触れた西新エリアは、教育環境を重視するファミリーにもおすすめです。小中高の有名校や大学が集まる文教地区として知られていて、西新駅から隣の藤崎駅までつながる商店街もあるなど、買い物にも便利な街ですね。空港線で天神まで10分足らずでアクセスできるのも魅力です。ちなみに最近、日鉄興和不動産が福岡に初進出したのも西新「リビオ西新二丁目」です。東京や大阪を拠点にしていたデベロッパーが最初に選ぶくらい、鉄板のエリアといえます。

▲西新エリア。環境の良さと教育水準の高さでファミリー層を含む幅広い世代に人気

よかレジ:あとは、大濠公園の周辺ですね。大濠公園は私が個人で行なっているマンション購入相談でも、常に希望エリア、憧れのエリアとして名前が挙がりますし、じつは私が福岡に移住したきっかけのひとつでもあります。とにかく広くて、「陽」のオーラにあふれた雰囲気も素晴らしくて、「この公園を日常にしたい」と思ったんです。公園の周囲にはハイグレードなマンションが多く、大濠公園の名前がついている「グランドメゾン」シリーズだけでも約30棟が立っています。

▲水と緑のオアシス「大濠公園」

――では、これから開発が期待できるエリアはどこでしょうか?

 

よかレジ:ひとつは、東区の箱崎周辺ですね。九州大学箱崎キャンパス跡地を活用した再開発が期待されるエリアで、大きく変わる可能性を秘めていると思います。同じく九州大学のキャンパスがあった六本松が、跡地の利活用によって人気がグッと上がりました。箱崎も今後の開発計画によっては同じような発展が期待できるかもしれません。

 

 

――マンションの価格についてはいかがですか? 数年前の福岡は東京や大阪の中心部に比べればやや「お手頃感」があったと思いますが、今はかなり高騰していますか?

 

よかレジ:ここ4〜5年でかなり高騰しています。中心部のマンションは坪単価400万円を超えることも珍しくなく、眺望が良ければ坪単価500〜600万円、最上階の超プレミアム物件は坪単価1,000万円を超えてくるケースもある。5年前はそれこそ「グランドメゾン」の新築でも坪単価250万円前後くらいで買えたことを考えると、中心部では2倍近く価格が上昇している感覚ですね。

 

 

――福岡市は2022年中の人口増加数が全国市区でトップ(総務省・人口動態調査)になるなど、移住者が増え続けています。居住ニーズの急激な増加も、ここまでの価格高騰につながっている要因のひとつでしょうか?

 

よかレジ:そうですね。ここまで価格が高騰した理由のひとつとして、多くの人に福岡の魅力が「気づかれた」というのはあると思います。正直、2020年くらいまでは福岡のマンションが全国的に話題になることは少なかった印象です。しかし、コロナ禍を機にリモートワークが浸透し、働く場所、住む場所の制限がなくなったことで、福岡にさらなる視線が注がれるようになりました。実際、その頃から福岡により多くの富や資本が集まってきた感覚がありますね。天神の街を歩いていると4〜5年前はあまり見かけなかった数千万円クラスのスーパーカーも普通に目にするようになりましたから。

 

 

――コロナ禍以前は東京に比べてマンションが安価な福岡を「穴場」と見る向きもありました。しかし、今や福岡でも中心部のマンションは高嶺の花になりつつあると。

 

よかレジ:少なくとも中心エリアにおいては「安いから福岡を選ぶ」という感覚ではなくなってきているのかなと思います。今は福岡自体の魅力に気づいた、本当に住みたい人に選ばれている印象ですね。

 

 

――とはいえ、坪単価400万円となると、若い一次取得層が買うのは難しいと思います。現実的に手が届きそうな価格帯で、おすすめのエリアはありますか?

 

よかレジ:注目エリアに挙げた「アイランドシティ」などは、今のところ買いやすい価格だと思います。一般的なファミリー物件が中古なら坪単価150万円くらいで販売されていますし、新築マンションも現状は中心部の半額程度が相場になっていますから。実際、エリア内では夫婦とも20代~30代前半と思しき子連れのファミリーの姿もよく見かけます。

 

また、中央区や早良区(さわらく)の一部などを除けば、地下鉄沿線でも比較的手の届きやすい価格・単価帯でマンションが分譲されています。

 

例えば、人気の地下鉄空港線の始発でもある「姪浜(めいのはま)」駅周辺は、新築でも5,000万円台で70㎡前後のファミリー向け物件が買えますので、まだ一般的な会社員の共働き夫婦でも手が届く範囲ではないかと。

 

今後、日本全体で人口減少が進む中、福岡市はまだまだ人口増加する数少ない都市です。そういったエリアの地下鉄沿線のマンションであれば、中長期的に見ても手堅い選択肢だと考えています。

 

 

取材・文:榎並紀行

 

WRITER

榎並紀行
編集者・ライター。編集プロダクション「やじろべえ」代表。住まい・暮らし系のメディア、グルメ、旅行、ビジネス、マネー系の取材記事・インタビュー記事などを手がけている。X:@noriyukienami

おまけのQ&A

Q.よかレジさんが将来、福岡で住んでみたいエリアを教えてください。
A.よかレジ:いくつかありますが、真っ先に思い浮かぶのは大濠公園エリアですね。なかでも公園に隣接し、窓から園内を望める「大濠」というアドレスに憧れがあります。私が福岡に移住する理由のひとつにもなった場所ですし、最終的にはそこに住むことが目標です。