特集

2024.11.28

俳優であり一級建築士試験に合格。田中道子さんが自宅マンションのこだわりを熱く語る!

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俳優でありながら「建築」のバックボーンを持ち、一級建築士の試験にも合格した田中道子さん。多彩な趣味を持つことでも知られる田中さんがマンションに求めるものとは?

――今回は田中さんの住まいに対する考え方や大事にしていること、マンションを選ぶ際に重視するポイントなどを教えていただきたいと思います。まず、今はどのような家にお住まいなのでしょうか?

 

田中道子さん(以下、敬称略):現在の自宅は上京してから2番目に住んだマンションで、もう8年目になります。間取りは1LDK。今年の春に結婚しましたが、夫(プロサッカー選手の川又堅碁さん)は静岡県の沼津のチームに所属していて、私は仕事の拠点が東京なので今は別々に暮らしています。それもあって、家の中も独身時代と特に変わっていません。とにかく自分の好きなものを置き、私だけの聖域のような空間にしているんです。家が心地いいとプライベートも仕事もすべてが上向くと信じているので、そこが気に入ったら、わりと長く住むほうですね。

田中道子さん01

▲田中道子(たなかみちこ):俳優。1989年8月24日生まれ、静岡県出身。オスカープロモーション所属。2013年、『ミス・ワールド2013』の日本代表に選出され、世界大会(インドネシア)でベスト30に選ばれる。モデルとしてさまざまなファッションイベントに出演後、2016年からは俳優に転身。ドラマ『ドクターX 〜外科医・大門未知子〜』(16年)や、ドラマ『貴族探偵』(17年)、ドラマ『極主夫道』(20年)、映画『極主夫道 ザ・シネマ』(22年)、ドラマ『大奥』(24年)などに出演。2022年には一級建築士試験に一発合格。@michikotanaka_official

――家を選ぶときの最重要ポイントは何ですか?

 

田中:まずは内装ですね。最初に住んだマンションは西洋風の凝った内装に惹かれました。床も壁も、洗面台や内装まで白で統一されていて、要所にタイルが使われているような素敵な空間で。収納など設備の面では物足りなさもありましたが、それを差し引いても気分を上げてくれる見た目を優先したいと思い選びました。

 

今の家も内装重視でしたが、テイストはかなり変わっています。床は黒に近い渋めのウォールナット、窓枠や建具も床材と似た色合いのシックな装いです。床が暗いと部屋全体も暗い雰囲気になりがちですが、リビングは二面採光になっているので、シックなイメージでありながら部屋自体は明るいのも決め手のひとつでしたね。前に住んでいたマンションから一気に雰囲気は変わりましたが、すごく落ち着く空間で気に入っています。

 

――設備や機能はいかがでしょうか? 「これだけは外せない」というものはありますか?

 

田中:私はエアコンがとても苦手で、特に暖房は湿度が下がってしまうのでなるべくつけたくないんです。ですから、できれば床暖房はあってほしいですね。でも、設備に関しては本当にそれくらいで、見た目と雰囲気、あとは「いかに自分が心地良くいられるか」が一番のポイントです。そういう意味では「通気性」も大事です。自宅に限らずスタジオなどの仕事現場でも、入った瞬間に空気がよどんでいると気になって「換気したい!」って思ってしまうんです(笑)。

 

――田中さんは絵を描いたり、楽器を演奏したりと、自宅で趣味を楽しむ時間も大切にされているので、なおさら居心地の良い空間は欠かせませんよね。

 

田中:油絵も描くので、換気ができないと部屋ににおいが染みついてしまいます。次に引っ越すとしたら、窓付きのアトリエや趣味を楽しむ専用部屋をつくりたいですね。夫の筋トレ部屋も兼ねられますし。ちなみに、夫が私のマンションに来たときは、勝手に家具を動かしてスペースをつくってトレーニングをしています。「終わったら戻しておいてね」と小言を言ってしまうので、共通の趣味部屋兼トレーニングルームは絶対にほしいです(笑)。

 

 

――外観についてはいかがですか? 内装と同じように、建物の見た目も気にしますか?

 

田中:そうですね。いま住んでいるマンションも、外からの目隠しの「壁」と採光のための「窓」がなかなか特徴的なんです。どちらかというと他にはない、どこか癖のある建物に惹かれます。最寄り駅から家に向かう途中、建物が見えてくるにつれて、毎回ワクワクさせてくれるようなマンションがいいですね。

 

――建築を学んだ田中さんらしい目線ですね。

 

田中:建築という視点でいうと、私は「ファンタジー感」のある建物に魅力を感じます。なかでも、ロンドンの3次元デザイナー トーマス・ヘザーウィックさんの建築が大好きで。2023年にオープンした麻布台ヒルズの低層部などもヘザーウィックさんのスタジオが手がけられているのですが、建物の前を通りかかるたびにテンションが上がります。

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▲今の自宅は外観から好きで帰ってくるとテンションが上がるそう

――日本にも、もう少し個性的な見た目のマンションが増えてもいいかもしれません。

 

田中:とはいえ、すべての建物が個性的すぎるもの、癖が強すぎるものになってしまうと落ち着かないので、シンボルとなるような建物は別として、普通の住居は基本的に街並みに溶け込む見た目であってほしいです。それでいて、周囲と調和しつつもちょっとした癖やこだわりが垣間見えるようなマンションが増えていくと、街全体の魅力が増します。結果、街に多くの人が集まり、経済も活性化していくはずです。建築は国や地域の経済を支える要素のひとつと言えるかもしれません。

 

そういう意味で、私がいいなと思う街はトヨタさんが静岡県裾野市に開発している実験都市のWoven City(ウーブン・シティ)です。夫に会いに沼津へ行く際、車で近くを通るたびに街ができていく様子を楽しみに眺めています。近未来的な建物がどんどんできて、それこそファンタジーっぽい雰囲気が感じられるんです。憧れますし、自分自身も住みたくなってしまいますね。

 

 

――田中さんは大学で建築を学び、卒業後すぐに二級建築士を取得。2022年には難関である一級建築士試験にも一発合格しています。今後は俳優業とともに建築の仕事に携わりたいという思いもあるのでしょうか?

 

田中:大学卒業後、24歳でタレント事務所に入ってからも「建築の仕事をやりたい」「学んできた知識を活かして社会貢献をしたい」という思いは常にありました。特に携わりたいのは教育施設や街づくり、最近は空き家問題の解決につながるようなリフォームにも関心を持っています。一級建築士になれば、学校や街づくりのような大規模な建築の仕事にも関われるようになるので、いつか絶対に取りたいと思っていました。

 

――いつまでにこれをやりたいといった、具体的なビジョンはありますか?

 

田中:当面の目標は一級建築士の免許登録です。2022年に試験には合格しましたが、免許登録には2年間の実務経験を積む必要があるんです。合格した当初は5年以内に実務期間を終えたいと思っていたのですが、気づけばもう2年が経ってしまって。今の状況で実務をやろうと思うと、芸能の仕事をかなりセーブしないといけません。

こればかりはタイミングなので何とも言えませんが、いつでも柔軟に動けるよう常に準備だけはしておきたいです。そういう意味では、今回のようにマンションの建設現場を見学させてもらえるのは、とてもありがたくて。将来の実務にも活かすことができそうなお話をたくさんお聞きできましたし、今後もいろんな情報収集をしながら「その時」に備えておきたいですね。

▲今回、田中さんには長谷工の大規模マンションの建設現場を見学いただいた。その模様は記事後編で

――今後、田中さんが住んでみたい「夢のマンション」を教えてください。

 

田中:予算やいろんなことを度外視するなら、まずは屋上やベランダに露天風呂がほしいです。それから、足湯もつくりたい。十分な天井高をとって、床も一段下げた開放的なリビングに足湯を設置して、換気や湿度もしっかり調整できるようにしたいですね。あとは縁側もほしいし、中世ヨーロッパの貴族がお茶をするような、シャンデリア付きのサロンにも憧れますね。どうしよう、言い出したらキリがない。

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▲田中さんは可変性のある間取りにも惹かれるそう

――いろんな要素が詰め込まれた、楽しそうな家になりそうです。

 

田中:すべて盛り込むと、もうぐっちゃぐちゃですね(笑)。でも、実現の可否は別として、できれば多面性のあるマンションが理想です。私は勉強をするときも、ずっと同じ場所ではなくあちこち移動してやりたいタイプで。テーブル、ソファー、ベッド、時には床だったりと、場所が変わると気分も変わるじゃないですか。家も同じように、洋風な部分もあれば和風な部分もある、サロンで紅茶を飲む日もあれば、縁側でほっこりする日もあったり、いろんな楽しみ方ができるといいですよね。いつか、そんな家を自分で設計してみたい。それも大きな夢のひとつです。

田中道子さん04

 

取材・文:榎並紀行 撮影:宗野歩 ヘアメイク:山田典良 スタイリスト:青柳裕美

 

WRITER

榎並紀行
編集者・ライター。編集プロダクション「やじろべえ」代表。住まい・暮らし系のメディア、グルメ、旅行、ビジネス、マネー系の取材記事・インタビュー記事などを手がけている。X:@noriyukienami

おまけのQ&A

Q.「夫婦で暮らす家」に求めるものはなんですか?
A.田中:「私たちの場合、夫婦で家に求めるものが違っていて。夫は私以上にきれい好きで常に部屋が片付いていないとイヤなタイプなので、大きな収納スペースは外せません。私はどちらかというと収納はそこまで必要なくて、それ以外の機能や設備のほうが大事です。既存の分譲物件で両方を満たすのはなかなか難しいと思うので、新築でも夫婦の要望に合わせてカスタマイズできるようなマンションがあったら魅力的ですね」