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マンションの「壁」の種類は1つではない!

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2024.02.07
 

 

マンションの「壁」の造りは、場所によって異なります。各住戸の仕切りとなっている「戸境壁(こざかいへき・こざかいかべ)」や外壁はコンクリート製の「湿式壁」で、「直貼り」と「二重壁」に大別されます。直張りとはコンクリートに直接壁紙を貼る造りで、二重壁は鉄筋コンクリートと壁紙の間に石膏ボードをかませる造りです。高層マンションの一部には、鉄筋コンクリートの代わりに軽量鉄骨の下地やパネルを組み合わせた「乾式壁」も見られます。

 

直貼りの場合、中の鉄筋コンクリートは共用部にあたるため、ビスや釘を打ったり穴を空けたりすることはできません。時計や額を掛ける場合は、掛けるものの重さに気をつけて接着タイプのフックを用います。

 

一方、二重壁も、石膏ボードと戸境壁の隙間が空洞になっていることから、二重壁もネジや釘が効きません。壁に何か掛ける場合は、直張りのように接着タイプのフックを用いるか、石膏ボード専用の取り付け金具を使用しましょう。あるいは、木製や鋼製の下地がある場合はこれを探ってビスや釘を打ち込みます。マンションによっては、あらかじめビスや釘、ネジが効く木製の桟(さん)や合板(ごうはん)が取り付けられている場合もあります。

 

住戸の中を仕切る「間仕切り壁」の多くは、軽量鉄骨か木材を下地として石膏ボードで造作されています。比較的、自由にリフォームもしやすいですが、水道や電気などの管や配線が収められている場合があるため注意が必要です。PS(パイプスペース)の中に排水竪管は共用部にあたるため、リフォームで位置を変更したり、新しくしたりすることはできません。

 

戸境壁は、遮音や耐火といった大事な役割も担っています。表面仕上げを含め、適切な性能を発揮するように造られているため、修理したりリフォームしたりする際には、あらかじめ管理組合や管理会社に戸境壁の仕様やリフォームのルールを確認するのが良いでしょう。

 

 

文:亀梨奈美

監修者

田村 啓

二級建築士/既存住宅状況調査技術者/東京都木造住宅耐震診断技術者

大手リフォーム会社での勤務経験を経て、さくら事務所に参画。建築の専門的な分野から、生活にまつわるお役立ち情報、防災の分野まで幅広い知見を持つ。戸建からマンション管理までインスペクションするさくら事務所で、プロホームインスペクターとしても活動している。

 

WRITER

亀梨 奈美
不動産ジャーナリスト。不動産専門誌の記者として活動しながら、不動産会社や銀行、出版社メディアへ多数寄稿。不動産ジャンル書籍の執筆協力なども行う。

X:@namikamenashi