マンションの共用施設とは? 管理方法や人気の施設、注意点などについて解説

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マンションには「専有部分」と「共用部分」があり、共用施設は後者の一部です。共用施設はマンションの住人全員が共同で使うもので、具体的には宅配ボックスや24時間ゴミステーション、駐車場などが該当します。

 

 

 

専有部分とは、区分所有者(各部屋の住人)が単独で所有する部分です。一般的には、天井や壁で仕切られた内側の居住空間を指します。そのため、玄関ドアの外側の空間などや窓、バルコニーは専有部分には含まれません。

 

 

 

共用部分とは、区分所有者が単独で所有できない部分、つまり専有部分以外の場所です。共用部分は、さらに以下の3つに分かれています。

 

・法定共用部分
・規約共用部分
・専用使用部分

 

「法定共用部分」とは、区分所有法によって定められた、各部屋を使用するために欠かせない場所や設備を指します。具体的には、エントランスやエレベーター、廊下などです。

 

「規約共用部分」とは、本来であれば専有部分になるべきスペースを、管理規約で共有部分に定めた場所のことです。具体的には、集会所や管理人室、倉庫などが該当します。

 

「専用使用部分」とは、区分所有者に専用使用権が与えられている場所や設備のことです。バルコニーや窓、敷地内駐車場などが該当します。

 

なお、専用使用部分は住人全員が共同で使用するスペースではないため「共用部分」には該当しますが、共用施設ではありません。

 

 

マンションの共用部分(共用施設)は、マンションの管理組合が管理しています。管理組合とは、建物などの管理を行なうために区分所有法に基づいて結成される団体のことです。マンションを購入した場合、区分所有者は原則として管理組合に加入します。

 

また、共用部分(共用施設)は、区分所有者個人の意思で手を加えることはできません。そのため「共用施設の窓ガラスを遮光タイプに変更したい」といった修繕・リフォームの要望がある場合は、管理組合の総会で4分の3以上の賛成を得る必要があります。

 

このように共用部分(共用施設)については、マンション全体のあらゆるトラブルを防ぎ、すべての住人が気持ち良く生活できるよう、規定で厳しく定められています。

 

 

 

最近のマンションでは、他の物件と差別化を図るためにさまざまな共用施設が用意されています。ここでは、あるとうれしいマンションの共用施設をいくつか紹介します。

 

 

 

24時間ゴミステーションは、そのマンションの住人であればいつでもゴミ出しができる施設です。通常のゴミステーションではゴミを出せるタイミングが限定されていますが、24時間ゴミステーションでは曜日や時間を気にする必要がありません。こまめにゴミを処分できるため、部屋を清潔に保ちやすい点もメリットです。

 

また、高層マンションやタワーマンションのなかには、各階に24時間ゴミステーションが設置されているところもあります。ゴミを持ってエレベーターに乗る必要がなく、さらに便利でしょう。

 

 

 

宅配ボックス(宅配ロッカー)があれば、自身の不在時に届いた荷物を一次保管できます。再配達を依頼する手間が省けるため、外出が多い方でも時間を気にせず荷物を受け取れるでしょう。

 

インターネットショッピングを多用する方には、特におすすめの共用施設だといえます。なかには、生鮮食品を冷蔵保管できる宅配ボックスもあります。

 

 

 

日常的に自動車やバイク・自転車を使う方にとって、マンション敷地内に駐車場・駐輪場があることはほぼ必須の条件だといえるでしょう。敷地外の駐車場などを利用する手もありますが、場所によっては移動にかかる手間や時間を不便に感じるかもしれません。

 

加えて、路上への駐車・駐輪は駐車違反となるおそれがある上に、いたずらや盗難被害に遭うリスクもあります。

 

都市部のマンションでは駐車場の利用台数が限られていたり、使用料が高かったりするため「車を持たない」という選択肢もあるでしょう。その場合には駐輪場だけでも、利用可能かどうかを事前に確認しておくと安心です。

 

 

 

防災備蓄庫は、地震など万が一の災害に備えて非常用物資を保管しておく倉庫です。水や非常食以外に、懐中電灯・毛布・カセットボンベ・簡易トイレなどが保管されています。

 

日本は地震や台風による被害が多いため、こうした備えのあるマンションであれば安心して生活できるでしょう。

 

 

 

マンションの1階部分に、コンビニエンスストアやスーパーマーケットが入居している物件もあります。建物内で日用品や食料品を購入できるため、雨の日でも濡れることはありません。

 

特に24時間営業のコンビニエンスストアであれば、買い物だけではなくATMや宅配便の利用、公共料金の支払いなども可能です。さらに、夜中でも外に出ずに買い物ができるため、帰宅が遅い方でも安心して利用できます。

 

 

 

子育て世帯の場合は、マンション敷地内に公園があるかどうかもチェックしたいところです。親の目が届く範囲で子どもを遊ばせることができるため、防犯面において安心できるでしょう。

 

また、公園は住人同士の交流の場・憩いの場にもなる上に、災害時の一時避難場所としての利用も可能です。

 

 

次に、まだあまり一般的ではないものの、あったらうれしいマンション共用施設・サービスを紹介します。

 

 

 

コンシェルジュとは、エントランスに常駐して住人の生活を支援するスタッフのことです。宅配便の受け取りに加え、ゲストルームなどの共用施設の予約、タクシーの手配、クリーニングの取り次ぎ、共用施設の管理などを行ないます。

 

「管理人と何が違うの?」と思われる方もいるでしょう。管理人と大きく異なるのは、その仕事内容です。

 

管理人は建物全体の維持管理や共用部の清掃などがメイン業務ですが、コンシェルジュは入居者が快適に過ごせるようにサポートする、ホテルのフロントのような役割を担っています。ただし、管理人がコンシェルジュの仕事を兼任しているマンションもあります。

 

また、コンシェルジュといえば「高級マンションにしかないサービス」というイメージがあるかもしれません。近年は、郊外のファミリー向けマンションで提供されることも増え、身近な存在になりつつあります。

 

 

 

ライブラリーは、マンションの住人が自由に使える図書室のようなスペースです。本や雑誌などが置かれているだけではなく、自分で持ち込んだ本を読むこともできます。

 

インターネット環境やデスクなどの設備が整っているケースも多く、テレワークや勉強にも活用できるでしょう。

 

 

 

ゲストルームは、自身の親せきや友人など、マンションに遊びに来た人のための宿泊施設です。ホテルのように寝具やバス・トイレがそろっているため、心地よく過ごしてもらえるでしょう。

 

ゲストルームを利用する際は料金が必要ですが、基本的にはホテルよりも安く利用できます。

 

 

 

マンションの共用施設は充実しているほど便利なものですが、確認しておくべきこともあります。ここでは、マンションの共用施設に関する注意点を3つ紹介します。

 

 

 

1つ目は、管理費についてです。マンションの共用施設の維持管理費は、住人が負担する管理費から捻出されます。そのため、共用施設の数が増えて規模が大きくなるほど、支払う管理費は増える傾向にあります。

 

フィットネスジムやパーティールーム・ラウンジといった豪華な施設があったとしても、実際には使わないケースが少なくありません。その場合も支払う管理費は変わらないため、マンションの購入時には注意を払うべきでしょう。

 

家族構成やライフスタイルを踏まえ、自分たちに必要な共用施設を見極めてください。

 

 

 

2つ目は、共用施設の状態やルールについてです。たとえ駐車場・駐輪場があったとしても、物件によっては「スペースが狭く、住人全員分の自動車や自転車を収容できない」ということも考えられます。「共用施設がある」というだけで安心せず、しっかりその状態をチェックしておきましょう。

 

加えて、共用施設の利用ルールを事前に確認することも大切です。マンションごとに「ゲストルームは1泊まで」「フィットネスジムではマシンを占有しない」「ライブラリーでは大声で話をしない」などのルールが定められていることが少なくありません。マナーを守って適切に利用しなければ、住人同士のトラブルに発展してしまうこともあります。

 

 

 

3つ目は、共用施設がなくなる可能性についてです。マンションの共用施設の存続を決めるのはマンションの住人であるため、維持管理費が高い・稼働率が低いといったものは話し合いにより閉鎖される可能性も否定できません。

 

自分にとってどうしても必要な共用施設があるなら、現在の稼働率などもチェックしておくと安心です。

 

 

マンションには専有部分と共用部分があり、共用施設は共用部分の一種です。24時間ゴミステーションや宅配ボックスなどが代表的な共用施設ですが、なかにはコンビニエンスストアやコンシェルジュ、ゲストルームなどが設けられているマンションもあります。

 

共用施設が充実していれば便利ですが、その分維持管理のための管理費が高くなります。そのため、自分にとって必要な共用施設があるマンションを選ぶことが大切です。特にフィットネスジムやラウンジなどは実際には使わないケースもあるため、購入前には念入りにチェックを行ないましょう。

 

 

▶︎関連リンク:専有部分と共用部分。その違いや管理責任は誰にある?

監修者

高槻 翔太

<保有資格>

  • 宅地建物取引士
  • FP技能士2級
  • 日商簿記2級

<プロフィール>

不動産・建設会社で土地有効活用のコンサルティング営業経験(6年)。売買や駐車場の活用、リフォームの提案などに従事。不動産・金融特化のライターとして不動産系メディアでの執筆実績多数。