ごみ清掃員の仕事を通じて得た知識を活かし、ごみにまつわる豆知識を楽しく発信するお笑い芸人のマシンガンズ滝沢秀一さん。マンション居住者にこそ知ってほしい、5つの「ごみトリビア」を教えてもらいました(以下、滝沢さん談)。
マンションのごみトリビア1:生ごみの汁を「絞ってから」出す
意外と厄介なのが「生ごみの汁」です。マンションのごみ集積所には可燃ごみの袋が山積みされているため、下の方にある袋が重みによって破け、生ごみの汁が漏れてしまいます。そうすると、ごみ集積所の汚れや悪臭の原因になってしまう。まずは、各家庭で生ごみの汁を絞ってから出すといいと思います。生ごみの80%は水分なので、ごみの受け皿にかけるネットの口を縛る時に、1回ぎゅっと絞ってもらうだけでもかなり違いますよ。重量もかなり軽くなるため、清掃員としても運ぶのが楽ですし、ごみ処理のコスト削減にもつながります。首都圏のとある自治体の資料によれば、一人ひとりがごみ袋を片手でぎゅっと絞って余分な汁を減らすだけで年間1億円のごみ処理費用が削減でき、両手で絞れば約3億円も削減できるそうですから。
▲滝沢秀一さん。お笑いコンビ「マシンガンズ」。2023年『THE SECOND〜漫才トーナメント〜』準優勝。2012年からはごみ収集会社の収集作業員としても働き始め、現在も芸人と兼業。『このゴミは収集できません』『ゴミ清掃員の日常』など、ごみに関する著作も多数 X:@takizawa0914
▲おしゃれなトートバッグかと思いきや、こちらは生ごみを手軽に堆肥化できるコンポスト
マンションのごみトリビア2:資源プラスチックを「綺麗に」出す
コンビニ弁当の容器やマヨネーズのボトルなど、資源回収の対象になるプラスチックを「汚れた状態」のまま出してしまう人が結構います。資源プラスチックって、汚れたままだとリサイクルができないんです。しかも、清掃車で回収した時に袋が破けて、その汚れが他の資源プラスチックにも付着してしまう。そうすると、他の人が綺麗に出してくれたものまでリサイクルできなくなってしまいます。ですから、中身が残った状態で出さないことはもちろん、汚れやにおいが残っている場合は軽く洗ったり、拭いたりしてください。どうしても洗うのが面倒なら、資源プラスチックではなく「可燃ごみ」として出したほうがいいと思います。
▲滝沢家にはペットボトルのフタ置き場もちゃんとあります
▲油が入った容器は油まみれのプラ容器となり、可燃ごみとなります。なので、僕は油容器を捨てるタイミングでそのまま出すと危ない竹串や割り箸を中に入れて捨てています。ちなみにピザの箱やクレヨンでお絵描きしたダンボールも可燃ごみになります
マンションのごみトリビア3:古紙は「種類ごとに分けて」出す
あまり知られていないのが、「古紙」の出し方です。意外と多いのが、段ボールをごみ箱代わりにして、そこに雑誌も新聞紙も牛乳パックも、すべて一緒に入れて出す人。古紙ってそれぞれリサイクルのルートが異なるので、まとめて出すと清掃員が分類しないといけなくなるんです。ですから、ごみ集積所のルールに従って、段ボールは畳んで段ボールの場所に、雑誌は雑誌の場所に、それぞれ分けて置いてほしい。特にルールがない場合は、住民同士で話し合って置き場所を決めてもらえるとありがたいですね。ちなみに、ダンボールの梱包用に使われている「とじ金具」は、無理に取らなくても大丈夫です。工場で溶解する時に、簡単に取り除けるので。
▲滝沢家では資源を分別して保管し、ある程度たまったら集積所に出している
▲ダンボールの梱包に使われている「とじ金具」は、付けたままでOK
▲ダンボールの捨て方。大きなダンボールの底を折り、そこに小さいダンボールを挟み込んでいくとかさばらずにまとめやすい
マンションのごみトリビア4:資源プラスチックに「ガラス」を混ぜるのは絶対NG
たまに、資源プラスチックにガラス製のコップなどを入れる人がいるんですけど、あれはやめてほしいです。割れたガラスの破片でごみを整理するマンションの管理人さんや清掃員がケガをしてしまうので。悪意を持ってやっているのではなく、単に間違っているだけの人も多いと思うんですけどね。昔はプラスチックって不燃ごみだったので、年配の方が資源プラスチックの日を「不燃ごみの日」だと勘違いしてしまっているケースも多いのかなと。
ごみ出しのルールってたまに変更されたり、地域によって出し方がまるで違ったりします。なので、自治体から送られてくる「ごみ出しルールに関するお知らせ」をこまめにチェックしたり、引っ越しをした場合はその地域やマンションのルールを改めて確認したりしてほしいですね。
▲ごみにまつわるお話がまとめられた滝沢さんの著作本
マンションのごみトリビア5:缶・ビン・ペットボトルは「中身を捨ててから」出す
資源プラスチックの話と少し似ていますが、ペットボトルやビン、缶なども必ず中身を捨ててから出してほしいです。ペットボトルにちょっとだけ液体が残っていたり、ビンの底に調味料がこびりついたりしていると、処理場の人が手作業で出さなければならず、大変な手間がかかります。また、時にはごみ清掃員を危険にさらすことも。過去には、同僚がペットボトルを回収している時に中の液体が肌にかかり、皮膚に痛みを感じて担架で運ばれたこともありました。何だか分からない「謎の液体」を処理するのは、清掃員にとって一番の恐怖なんです。ごみを捨てる時は、少しだけでもいいので「その先にいる清掃員や処理場の人」のことを意識してもらえるとありがたいですね。
▲ボトルの中をゆすいで乾かして出すのが正しい捨て方
▲油が入っているドレッシングのボトルはPET素材でもペットボトル資源には出せず、プラ資源になります。ノンオイルはペットボトル資源で出せます
WRITER
編集者・ライター。編集プロダクション「やじろべえ」代表。住まい・暮らし系のメディア、グルメ、旅行、ビジネス、マネー系の取材記事・インタビュー記事などを手がけている。X:@noriyukienami
おまけのQ&A
- Q.使い終わったマヨネーズが少しだけボトルの底に残っていて、洗ってもなかなか綺麗に落ちない場合はどうすればいいですか?
- A.ボトルにお酢やオリーブオイルを入れて振ってみてください。ドレッシングとして最後まで使い切ることができるので、おすすめです!