利便性、資産性、ステータスはもちろん「窓の向こうに見える風景」もタワマンの大いなる魅力。湾岸エリアタワマン専門家が選ぶ「眺望」縛りの偏愛マンションは!?
のらえもんさんが選ぶ「景色が美しいタワマン」
東京湾最前列に建つ眺望に全振り
ブリリア有明シティタワー
画像提供:ブリリア有明シティタワー管理組合
住所: 東京都江東区有明1丁目
最寄り駅: ゆりかもめ「有明テニスの森駅」まで徒歩8分
建築年月: 2015年3月
総戸数: 600戸
階建: 地上33階/地下1階
旧事業者:東京建物、住友不動産
景色の魅力: 東京湾を背景に都心を一望。東京タワー、レインボーブリッジ、富士山、スカイツリーが見渡せる。
共有部の魅力: 最上階には露天ジャグジーも含む豊富な共有部があり、贅沢な眺望を楽しめる。
のらえもん:眺望が良いマンションがたくさんある有明エリアのなかでも、海側の最前列にあるのが、この「ブリリア有明シティタワー」です。スカイラウンジからは、東京タワー、レインボーブリッジ、富士山、スカイツリーという東京を象徴する景色を一望できる点が際立っています。
有明シティタワーに限らず、ブリリアシリーズは、最上階に共有部を集中させる設計が特徴です。スカイラウンジやジャグジー付きの露天風呂などの施設で、日常的に眺望を楽しめる点で優れたマンションだと思います。「東京湾大華火祭」(2015年を最後に休止中)が復活すれば、花火も良く見えますね。
「ブリリア有明シティタワー」は、海側の端にあるので、駅や商業施設からは一番、遠くなってしまうんですよね。正直にいえば、生活利便性の点では有明の他のマンションに比べて不便かもしれません。その意味では景色の良さに全振りしたタワーマンションと言えますね。
自然と高層ビル群のコントラストが美景
パークコート渋谷 ザ タワー
画像提供:パークコート渋谷 ザ タワー管理組合
住所: 東京都渋谷区宇田川町 1丁目
最寄駅: JR山手線「渋谷駅」 徒歩8分
建築年月: 2020年8月
総戸数: 503戸
階建: 地上39階/地下4階
旧事業者: 三井不動産レジデンシャル
景色の魅力: 代々木公園の緑と新宿の超高層ビル群を一望。
立地の魅力: 渋谷のNHK前、代々木公園に面し、都会の中の緑豊かな景色を楽しめる。
のらえもん:「パークコート渋谷 ザ タワー」は、代々木公園を見下ろせる高い位置にあり、NHK前、代々木公園に面した位置にあって、代々木公園の豊かな緑と新宿の超高層ビル群という、自然と都会のコントラストが堪能できます。
特にザ パークビューラウンジという施設があって、二層吹き抜け構造になっており、この絶景を存分に楽しむことができるように設計されています。ちなみにNHKのお昼のニュースに映る景色とほぼ同じ眺めが楽しめます。
ネット上の画像では最上階に凄い眺望のプールがあるんですが、あれは共用施設ではなくて、居室内のプライベートプールなんです。
このマンションは他にも高級仕様が凄くて、その特徴としてバレーサービス(※)が付いています。フェラーリやランボルギーニ、ポルシェなどの高級車が常に出入りしている光景も見られます。自然の美しさと都市生活の便利さ、そして高級感を兼ね備えた理想的なタワーマンションといえるでしょう。
※バレーサービスとは専用のスタッフが利用者の車を代わりに駐車し、必要なときに車を持ってきてくれるサービスのこと。
気分はもう横浜の王様!
ザ・タワー横浜北仲
画像提供:ザ・タワー横浜北仲管理組合
住所: 神奈川県横浜市中区北仲通5丁目
最寄駅: みなとみらい線 「馬車道駅」 徒歩1分
建築年月: 2019年10月
総戸数: 1174戸
階建: 地上58階/地下1階
旧事業者: 三井不動産レジデンシャル、丸紅
景色の魅力: みなとみらいの景色と遊園地、横浜ランドマークタワーが見える。
共有部の魅力: 屋上スカイテラスから横浜の全景を望める。
のらえもん:「ザ・タワー横浜北仲」は横浜の中心部、馬車道駅直結の場所に位置し、歴史的な建造物を復元した北仲ブリック&ホワイトに隣接しています。このタワーマンションは、25階にビューラウンジを備え、そこからは「みなとみらい」の遊園地や横浜ランドマークタワーを一望できます。さらに、屋上のスカイテラスからは横浜全体や東京方面の景観も楽しめて、横浜の王になったような気分を味わえます(笑)。
特筆すべきは、「ザ・タワー横浜北仲」は46階に公開空地があって、タワーマンションの住民でなくてもアクセス可能な点です。ここはオークウッドスイーツ横浜という滞在型ホテルのロビーがあり、46階から51階にかけてホテルが配置されているんですね。だから、タワーマンションに住んでいない人でも、公開スペースから、高層階の眺望を体験できるわけです。でも、ほとんどの人が知らないのでしょうね。
建物内のオークウッドスイーツ横浜は、宿泊予約サイト等で最低価格2万円から予約可能です。キッチン付きのサービスアパートメントで、46階とか47階くらいのタワーマンション住民の気分を短期間ながら味わうことができます。「ザ・タワー横浜北仲」は、横浜を見渡せる眺望だけでなく、公開スペースやホテルを通じて、気軽に楽しめる意味でおすすめしたかったマンションです。
関東平野を一望する眺望と利便性の二刀流
パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー
画像提供:パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー管理組合
住所: 神奈川県川崎市中原区新丸子東3丁目
最寄駅: JR横須賀線「武蔵小杉駅」より徒歩3分、東急東横線「武蔵小杉駅」・JR南武線「武蔵小杉駅」より各徒歩1分
建築年月: 2009年4月
総戸数: 797戸
階建: 地上59階/地下3階
旧事業者: 三井不動産レジデンシャル、三井都市開発、新日石不動産
景色の魅力: 日本で最も高い場所にある共用部から関東平野を一望。
立地の魅力: 生活利便性が高く、都心や横浜へのアクセスが良好。
のらえもん:最後は「パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー」です。日本で最も高い場所に共用部を持つタワーマンションの一つで、その屋上からは関東平野全体が見渡せるといっても過言ではありません。横浜の街並み、富士通スタジアム川崎、多摩川の向こう側に広がる大東京、さらには東京タワーとスカイツリー、羽田空港に向かう飛行機まで、幅広い景色を一望できちゃうんですね。
結構、悩みました。湾岸、東京タワー、自然、横浜と紹介してきて、もう切り口がない…と、思ったんですが、武蔵小杉に「パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー」がありました。このマンション自体が、59階建てで武蔵小杉地区において非常に目立つ存在で、確か日本で2番目または3番目に高いタワマンなんです。しかも、屋上に出られるということで、推します。
「パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー」は、眺望の良さだけでなく、生活利便性の面でも評価が高いんです。街単位で比較したら、豊洲よりも武蔵小杉の方が総合的な完成度としては上だと思っています。都心に近い立地でありながら、東急線など複数の交通網が利用可能で、どこへ行くにも便利です。ただし、車を主要な移動手段とする場合は、少々不便を感じるかもしれません。
自分は東京が好きなので基本は東京で探したいですが、3年だけなら…武蔵小杉もいいかもしれません。でも、武蔵小杉の利便性を考えれば、一度住んだら離れられなくなっちゃう可能性もあります。武蔵小杉のように東京都の東側にも、西側にも行きやすい場所ってじつは少ないですよね。しかも、武蔵小杉にはJRが止まり東急東横線もある、南武線も使えるので、やはり便利ですよね。
武蔵小杉駅の交通混雑について指摘されますが、もう、それはしょうがないです。武蔵小杉には前後に東京と横浜があって、膨大な人口があるわけですから。湾岸エリアって後背地には海しかないドンツキですから、交通は武蔵小杉ほど混みようがないんです。でも、武蔵小杉は何でもある街なのに、加えて渋谷でも横浜でもどこにでも電車で出やすいので、考え方によっては東京駅や品川駅よりも便利かもしれません。
のらえもんさんのタワーマンションへの偏愛の理由は?
――「眺望」という魅力からタワーマンションについて紹介していただきましたが、のらえもんさんのタワマン愛はどこからきているんでしょう。
のらえもん:私はキラキラしたものが大好きで、タワマン以外もアイドルとか仏像とかも好きなんです。でもタワマンは自分の育ちにも大いに関係があるかもしれません。
私はマンションで生まれ育ったんですが、眺めが全く期待できないマンションでした。部屋から見える景色は、目の前の別のマンションだけという感じです。子供時代に眺めのないマンションで過ごしたからこそ、タワマンの開放的な景色に憧れを持つようになりましたね。
▲のらえもん マンションアナリスト、ブロガー、インフルエンサー。東京湾岸エリアのタワーマンションと、中での生活をこよなく愛する「湾岸タワマン専門家」。X:のらえもん
――では、眺望はタワマンの魅力のなかでも根幹といってもいいですね。
のらえもん:そうですね。もう一つは、みんなで夢のような暮らしを共有するということも魅力ですね。タワマンは共有設備はもちろんですが、眺望も共有できますよね。今回、紹介したタワーマンションもすべてスカイラウンジや屋上などで眺望を、みんなで同じ景色を楽しめるものだけにしました。僕的には設備も景色も共有できるのが、いいタワマンだと思います。
――みんなで共有できる点にこだわるのはなぜですか。
のらえもん:デベロッパーの中には「絶対に屋上に上がらせねーぞ」、「スカイラウンジなんて最上階には造らねーぞ」という会社もあります。そういう、良い眺めは高いお金を払った人だけが楽しめるもの、という思想も否定はできません。
だけどタワマンは、規模からいえば一つの街ともいえるんですよね。そうであれば、その街に住む人たちの物語や歴史みたいなものも生まれてくるはずです。みんなで花火を見た記憶とか、パーティールームで過ごした経験などがある方が、街としてのタワーマンションとしていいことだと思っているんです。
理想の住まいを求めて のらえもんさんの住まい選び
――のらえもんさんの活動全般として、特に湾岸エリアに注目されているように思います。
のらえもん:湾岸エリアに注目しているのは、そのエリアがまだ新しく、自分たちで文化や歴史を作っていける可能性があるからです。それが、ブログを書く動機、発信する動機になっています。
豊洲に関しては、都心の便利さと郊外の快適さが融合している点を特に高く評価しています。大型のショッピングセンターやホームセンターがあって通勤にも便利という意味では、最後のニュータウンですよね。
――しかも、豊洲にはキラキラした部分もありますね。
のらえもん:そうですね。そして、防災の面でも優れています。東京で大きな災害があったときに郊外に住んでいると家まで帰る手段がありません。豊洲のように歩いて帰れるというのは凄くいいと思っています。
湾岸エリアは災害に弱いと思われていますが、実際は安全性は高いです。盛土していて、地盤ごと高くなっているので水害リスクも低いです。もしも、何かあっても海にいくらでも排水できます。実際には低地に建つマンションの方が、よほど危険なんですよね。湾岸エリアの弱点を強いていえば、風が強いというのはありますね。
――今回は眺望を切り口にして4つのタワーマンションを選んでいただきましたが、ずいぶん悩まれたそうですね。
のらえもん:芝浦近辺のタワマンも入れたかったですね。あとは豊洲の「スカイズ タワー&ガーデン」も入れたかったです。両方ともレインボーブリッジを異なる角度から眺められるのが魅力です。ただ、スカイツリーは見えないんですよね。屋上までアクセスすれば、見えますが、展望ラウンジからはスカイツリーは見えない。富士山やレインボーブリッジ、東京タワーに加えて、スカイツリーが見える点で湾岸からは「ブリリア有明シティタワー」を入れました。私はどちらかといえば、海側からの東京の景色が好きなのかもしれませんね。
――最後に伺いたいのですが、もしも、予算を気にせずに住まいを選べるとしたら、マンションに限らずどんな住まいが理想ですか?
のらえもん:子育てを考えるかどうかにもよりますが、考えないなら代々木上原に住みたいですね。都心から少し離れているけれど、住民や街の雰囲気がとても良いからです。
――中低層のマンションで、各フロアの戸数が少なく、日当たりが良い。そして、緑が多く、時々ケータリングの料理人が来てホームパーティーをするようなイメージがあります。
のらえもん:その通りです!落ち着いたら、そんな生活もしてみたいですね。
取材・文:小野 悠史
おまけのQ&A
- Q.一番、住んでみたいマンションは?
- A.代々木公園に近接する「グロブナープレイス神園町(※)」です。
※グロブナープレイス神園町はイギリスに拠点を置く世界的な不動産開発会社グロブナー社によって造られた高級レジデンス。日本国内屈指の高級住宅として知られる。