特集

2025.04.15

マンションマニアの声優・村瀬歩が、リニューアルした「長谷工マンションミュージアム」に行ってみた

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声優・村瀬歩さんが、マンションの知識を楽しく学べる「長谷工マンションミュージアム」に行ってきました!

 

▲村瀬歩(むらせ・あゆむ)さん/2011年に声優デビュー。声の音域が広く、中性的な役や女性の役も演じる。代表作に『ハイキュー‼︎』(日向翔陽)、『魔入りました!入間くん』(鈴木入間)、『ひろがるスカイ!プリキュア』(夕凪ツバサ/キュアウィング)、『王様ランキング』(カゲ)など X:村瀬歩

長谷工グループの創業80周年事業の一つとして東京都多摩市に作られた長谷工マンションミュージアム。「見て、触れて、感じて、学べる」をモットーに、マンションにまつわるさまざまな展示がされています。2025年4月には館内の一部がリニューアルされました。

 

そんな長谷工マンションミュージアムを、マンションマニアの声優・村瀬歩さんが訪れました! 以前のインタビューでも、ミュージアムに興味を示していた村瀬さん。館長の案内でミュージアムを見て回り、より一層知識を深めました。

▲村瀬歩さん(左)と、長谷工マンションミュージアム館長の江口均さん(右)※所属先・肩書きは取材当時のもの

館長:どんなことを楽しみにしてお越しいただきましたか?

 

村瀬:マンションの歴史を深く学びたいです。今建っているマンションについては知っていても、昔の建造物については知らないことが多いので、構造なども詳しく知りたいですね。

 

館長:このミュージアムには「未来の住まい」をテーマにしたエリアもあります。村瀬さんは、未来の住まいはどうなっていると思いますか?

 

村瀬:今以上に省エネルギーでエコな住宅が増えるんじゃないでしょうか。普通のマンションにも全館空調とか、そういうシステムが導入されているかもしれませんね。未来は、今では思いもよらないような設備があるのかも!

 

 

▲まずは大迫力の360°シアターで約8分間の映像を鑑賞。生命の誕生から、集合住宅の成り立ちまでを学ぶ

村瀬:生命の誕生なんて、そんな太古の昔から始まるのがすごいですね!

▲社会の変遷と集合住宅の歴史、長谷工グループの歩みが展示されたパネル

村瀬:これだけの年表を作るのは大変そう!

 

館長:大変でしたね。来館者の方からも情報をいただき、1年かけてすべて見直して貼り替えました。

 

村瀬:たとえば「このマンションができたのはこの年じゃないですよ」とか?

 

館長:そうです。古いマンションだと、竣工年月日と引き渡し日が混在していたため、表現を竣工年月日に統一しました。

▲古いマンションの室内を3Dで見られるモニター

館長:こちらは同潤会の代官山アパートメント。同潤会というのは、いろいろな建築家やゼネコンが有志で作った財団法人で、それが発展して日本住宅公団からURになりました。

 

村瀬:初めて見るのにノスタルジーを感じます。

▲1970~2014年に発売されたマンションのうち、83冊のパンフレットを展示

館長:長谷工グループ全社に「古いマンションのパンフレットを貸してください」と声をかけ、約1000点のパンフレットが集まりました。スキャニングして返そうとしたら、「データをくれればパンフレットはあげるよ」と言われたので、実物はすべて私のところにあるんです。

 

村瀬:これ、全部スキャニングされたんですか? すごい労力!

▲年代ごとの間取りの変遷について学ぶ

館長:大正時代の集合住宅は長屋です。その後、時代が進んで初めて水洗トイレができました。この時代は和室のちゃぶ台でごはんを食べて、同じ部屋に布団を敷いて寝ていたため、不衛生だったんですね。そこで日本住宅公団が「食寝分離」といって、食べる部屋と寝る部屋を分けることを提案しました。

 

村瀬:ライフスタイルの提案もしているんですね。

 

館長:食寝分離を推進するため、公団ではダイニングテーブルを備え付けにしました。その後、昭和の後期になって「もっと生活水準を上げよう」という流れになり、リビングルームとダイニングルームができて、ここで初めて3LDKという表示が生まれました。

 

村瀬:今でもよく見る間取りですね。

 

 

▲新旧のバスルームやトイレなどの実物が展示。新旧のマンションの比較ができる

館長:これは最近のお風呂です。タイル張りだと足が冷たかったり、膝を立てた時に痛かったりするんですね。だからこの床はタイル模様の柔らかい素材でできています。また、保温浴槽だと湯船にふたをしておけば4~5時間はお湯が冷めにくいです。良かったらふたを持ってみてください。

 

村瀬:わぁ、すごく軽い! ちなみにこの浴室のサイズは?

 

館長:これは1418です。

 

村瀬:そうなんですね! もっと小さいかと思いました。

▲長谷工が1970年代に開発した「コンバスシリーズ」の和室

館長:10年前から、和室を設計したマンションはほぼないんです。多くはフローリングになりました。だけど、和室がなくなると押入れがなくなるため、布団を使っているお客様から「布団の収納ができない」というお声があったんですね。そこで、当社は洋室に布団が入るクローゼットを作りました。

 

村瀬:お客様の声を取り入れているんですね。

▲最新の間取り「Be-Next」のモデルルーム

館長:1970年代のマンションは梁や柱が出ていたのでデッドスペースだらけでした。その点、最新のマンションはフラットで広い造りになっています。壁を広げて梁を中に入れてフラットにしました。

 

村瀬:すごくお金がかかりそう。

 

館長:かかっています。また、カーテンレールも進化しました。これまでのものだと毎日カーテンを開け閉めすると壁紙を擦ってしまい、壁紙が傷んでしまいますよね。今はカーテンレール一体型で、開け閉めによってレール取付部の壁紙が傷まないように作られています。

 

村瀬:イノベーションがすごい!

 

 

▲ARを使ったマンション設計に挑戦できるコーナー

館長:マンション設計を体験していただけます。ミッションが出ますので、ぜひやってみてください。

 

ナレーション:大規模な再開発が進む都市郊外。1年半(18ヵ月)後に新しい駅が開業することが決まっています。あなたは、再開発地区にできる新築の分譲マンションの設計責任者に選ばれました。

 

村瀬:最高ですね!

▲タブレットでマンションの階数や形状を選択

館長:工期は18ヵ月です。

 

村瀬:さすがに15階だと18ヵ月を超えちゃうか。じゃあ10階にしておこう。形状はL字形で。

▲タブレットのカメラを目の前の模型に向けると、その空間に選択したマンションが映し出される

館長:これで日当たりのシミュレーションもできます。

 

村瀬:あ、夕方になるとけっこう暗いな。こっち側を公開空地にしたかったのに。

 

館長:そこまで複雑な設計はしなくても大丈夫ですよ(笑)。今、体験していただいたのは、BIM(ビム)というシステムを用いた設計のシミュレーションです。一人が作ったデータを全員で共有することができます。

 

村瀬:いろんな知見が蓄積されていくんですね。

 

 

▲4月にリニューアルした「これからの住まい」をテーマにしたエリア

館長:このエリアは、長谷工コーポレーション、AVITA社(大阪大学の石黒浩教授が代表を務める、アバター技術を活用して人類を進化させることを目指す企業)、TOPPAN社の3社が共同して作りました。映像と連動した照明・音響によって、AIコンシェルジュが一緒に暮らしている未来の住まいを体験できます。

 

村瀬:わー、ドキドキする!

▲中にはリビング、子ども部屋、洗面所がある。映像は、AIコンシェルジュのアヴィが家族の一員のように暮らす物語

村瀬:未来の暮らしってこんな感じなのかな。

▲アヴィにおすすめレシピを尋ねると、すぐさまキッチンカウンターに映し出してくれる。また、鏡に自分を映すと体調管理をしてくれるシステムも

村瀬:わぁ、動画と実物がリンクしてる! すごい技術ですね!

▲未来の暮らしを堪能する村瀬さん

村瀬:すごくおもしろかったです。AIのいる暮らしってすごく未来の話だと思っていたけれど、もうすぐそこまで来ているんですね。

 

 

▲マンションの建て替えを表現した模型と村瀬さん

館長の案内で長谷工マンションミュージアムを堪能した村瀬さん。

 

「人々のライフスタイルの変化に合わせてマンションも進化していき、AIを活用した未来の住まいにつながっていく。その時代の流れを体感できました」と大満足の様子でした。

 

この記事を読んで興味を持った方は、ぜひ一度、長谷工マンションミュージアムに行ってみてはいかがでしょうか。

 

 

取材・文:吉玉サキ 撮影:清水純一 撮影場所協力:長谷工マンションミュージアム

 

WRITER

吉玉サキ
北アルプスの山小屋で10年働いていたライター。著書に『山小屋ガールの癒されない日々』(平凡社)『方向音痴って、なおるんですか?』(交通新聞社)がある。 X:@saki_yoshidama

おまけのQ&A

Q.長谷工マンションミュージアムで初めて知った知識は?
A.村瀬:知らないことだらけでした。特にBIMでの設計シミュレーションは、「たった18ヵ月でマンションを建てられるんだ!」と驚きましたね。館長のお話だと、マンションの規模にもよるけれど平均すると工期は18~20ヵ月だそうです。たしかに普段通っている道で見かけた建設中のマンションも、あっという間にできあがっていたイメージですが、今はこんなにスピード感があるんですね。