国山ハセンさんが都心の築古リフォーム物件を「内見」。長谷工の担当者に忖度なしの質問をぶつけつつ、「買い」か否かをジャッジします。
ハセンがチェック「買うべきマンション」を見分けるポイント
映像プロデューサー、タレントの国山ハセンさん。TBSアナウンサー時代から、居住用、投資用のマンションを複数回にわたって購入してきました。
物件に対して独自のこだわりを持ち、マンションを見る目に肥えたハセンさんが訪れたのは、東京・御茶ノ水にある“億超え”マンション「御茶ノ水ロイアルハイツ」。築46年、119㎡の物件をリノベーションした一室です。
今回は、リノベーションを手がけた長谷工リアルエステートの担当者とともに室内を巡りながら、ハセンさんが気になるポイントをチェック。内見後、都心の中古マンションは「買い」なのか、ハセンさんにジャッジしていただきました。
国山ハセンさん(以下、ハセンさん):部屋に入ってみて、まず、開放感と綺麗さに驚きました。築46年だけあって外観はヴィンテージ感があるのに、部屋の雰囲気はまるで違う。全面的にリフォームされているんですね。
長谷工リアルエステート・河合豪さん(以下、河合):はい。こちらは当社でフルリフォームした物件で、販売価格は1億7500万(坪単価484.5万円)です。
ハセンさん:さすがに、いい値段ですね。ターゲットはファミリーですか?
河合:そうですね。間取りは3LDKで基本的にはファミリー向けですが、最近はご夫婦おふたりのご家族などが100㎡以上の家を購入して、ゆったり住まわれるというニーズもあります。広めのLDKを夫婦で共有し、2つの個室はそれぞれがプライベートルームとして使うといったライフスタイルですね。
ハセンさん:なるほど。うちは妻と息子の3人家族ですけど、それでも十分な広さですね。では、さっそく各部屋を拝見させてください。
ハセン’sチェックポイント1「水回りの配管」
やはり、築古ということで水回りの劣化が心配になってしまうんですよね。この部屋はキッチンもお風呂もきれいにリフォームされていますが、見えない部分の配管などは大丈夫なのでしょうか?
河合:そこは、みなさん気にされるポイントです。当社では、築年数が経ったリフォームの場合はキッチンだけでなく専有部分の配管も新しいものに交換しています。ですので、経年劣化による水漏れの心配もそこまでありません。ただし、全ての物件が同じ対応をしているわけではありませんので、気になる場合は不動産仲介会社の担当者などに聞いてみてください。
ハセンさん:じつは、過去に中古マンションを買ったときに、住み始めてから配管のにおいが気になり始めたことがあって。においだけでなく詰まりやすかったりもしたので、配管のこともしっかり聞いておけばよかったですね。
河合:配管を変えていないと、前の住人が使っていたときのサビや汚れが残っている可能性もあります。当社の場合はリフォームが終わった後に水を流して検査するので、詰まって流れにくいということは基本的にありません。そのほかにも、キッチンとお風呂、洗濯機の防水パンに水を同時に流して、逆流してこないかの検査なども行っています。内見の際は、こうした検査の有無についても、お聞きになるといいと思います。
ハセン’sチェックポイント2「隣家の生活音」
ちなみに、この物件は角部屋ですけど、2つの洋室やリビングが隣家に面していないんですか? というのも私、隣家の「音」がけっこう気になってしまうタイプでして……。
河合:この部屋で隣家に面しているのは浴室や洗面室だけです。そのため、リビングを含む居室スペースにいる時は、隣の音が気になるということはないと思います。
ハセンさん:それは、個人的にポイントが高いですね。築古マンションの一番の心配事って、じつは音の問題なんです。昔、きれいにリフォームされた築古の賃貸マンションに住んでいたのですが、その時にかなり騒音問題に悩まされて。いくら見た目がよくなっても、壁の厚さは変わらないんだなと思って、結局すぐに引っ越しました。
河合:ハセンさんに限らず、音の問題を気にされる方は多いです。内見の際、外からの音がどう聞こえるかはすぐに分かりますが、隣家からの生活音は確認できないこともあります。内見ってどうしても休日の昼間などに集中しがちで、お隣さんが外出されている場合も多いので。どうしてもチェックしたいということであれば、仲介会社に頼んで、平日の仕事終わりや土日の夕方など、お隣さんが在宅している可能性が高い時間帯を狙って内見するのもアリだと思います。
ハセンさん:確かに、それはやったほうがいいですね。生活音って曜日や時間帯によって全く異なるから、できれば平日の夜や土日の午前中、夕方など、複数回に分けてチェックしたいです。
ハセン’sチェックポイント3「近隣住民のマナー」
ハセンさん:生活音の話にも通じますが、近隣にどんな人が住んでいるかって、かなり重要なポイントじゃないですか。でも、なかなか確認しようがないですよね。
河合:中古物件やリノベ物件であれば、仲介会社なりが前の居住者の方から情報収集していると思います。少なくとも、「上下左右にどんな人が住んでいるか」くらいは把握していると思いますので、ぜひ質問してみてください。
また、マンション全体として、ファミリーの方が多いのか、単身の方が多いのか、年齢構成がどれくらいなのか、といったところも聞いておくといいですね。ファミリーが多ければ子育て向きの環境であるともいえますし、ほぼ単身者であれば、平日の昼間はかなり静かであることが想像できると思います。
ハセンさん:あとは、共用部の使い方を見ると、住民の方のマナーや管理状況が分かったりしますよね。私の場合は、内見のときに必ず「ゴミ捨て場」を見るようにしていて。経験上、「ここは微妙かな」と思う物件ほど、ゴミ捨て場が汚ないことが多かった気がします。
河合:確かに、それはあるかもしれません。
ハセンさん:内見のときって、気分が高揚しているじゃないですか。だから、どうしても「良いところばかり」に目が行きがちだと思うんです。でも、悪い点を見落とさないことも、同じくらい大事ですよね。特に、自分がそこに住んだときに高頻度で使う場所は、しっかりチェックしたほうがいい。
河合:おっしゃる通りです。内見の際はできるだけ冷静になって、ゴミ捨て場や自転車置き場、トランクルームなど、可能な限り共用部をチェックしていただいたほうがいいと思います。ちなみに、ゴミ捨て場については可能であれば管理人さんに使用状況を聞いてみたり、壁に張り紙などがないかチェックしてみてください。強い言葉で分別を促す張り紙などが張られている場合は、何かしらの問題があることを想像できると思いますので。
ハセンさん:そうやって物件の良い点と悪い点をきちんと洗い出さないと、なかなか正しい判断ができない。その点では、河合さんのように築古マンションのウィークポイントも率直に教えてくれると安心です。物件選びで後悔しないためにも、担当の方と密にコミュニケーションをとって、気になることは何でも聞いたほうがよさそうですね。
マンションの値段は「希少性」で変わる
マンション価格に最も大きな影響を及ぼすのは立地。特に、都心など、多くの人が住みたいと思う場所では、なかなか新築物件が出てきません。中古であっても都心の駅近など立地がよく、管理がしっかりしているマンションは希少性が高いのです。
ハセンさん:確かに、このマンションは御茶ノ水駅から徒歩7分以内と、立地は抜群ですね。
河合:ちなみに、この物件がある千代田区の場合、現時点で100㎡以上の物件は40戸ほど売りに出ています。そのなかで2億円以下の物件は、ここを含めて4つしかありません。
(2024年2月現在。当社の調査結果であり実際と異なる場合があります。)つまり、ほとんどが2億円オーバーです。そう考えると、120㎡弱の広さで1億7500万円であれば、決して高くはないのかなと。
築古リフォームマンションは「買い」なのか?
ハセン:じつは、これまで築古物件って、僕のなかで選択肢になかったんです。どちらかというと外観のきれいさや、共用施設のスペックみたいなところを重視していたので。ただ、そういう物件はやはり高くて、現実的な価格で選ぶとかなり手狭になってしまう。
その点、築古なら都心で100㎡近い物件が手に入るかもしれないことを考えると……、正直、今かなり心が揺れています。
河合:本当ですか。
ハセン:ただ、やはり過去に築古物件に住んだときの、苦い経験がどうしても頭をよぎってしまいます。いくらリフォームしてあるとはいえ、住んでみたら気になることが出てきてしまいそうな気がして。築古マンションに対して同じような不安を覚えている人は他にもいると思いますが、それでも河合さんは自信を持っておすすめできますか?
河合:もちろん、どんなマンションにもストロングポイントとウィークポイントがあります。先ほどハセンさんもおっしゃっていましたが、特にウィークポイントをしっかり洗い出し、それが許容できる範囲内なのか判断しないまま購入すると、後悔するかもしれません。
そのうえで申し上げますと、今日ご紹介した物件に関しては、十分におすすめできます。確かに、外観や共用部は築古なりに年季が入っていますが、古くても「汚い」「暗い」と感じることはなかったんじゃないでしょうか?
ハセン:確かに、古くてもネガティブな印象はなくて、むしろ魅力的に感じました。
河合:それは、このマンションが建築当時の最先端だったことや、管理がしっかりしていることで、古くなっても色褪せないのだと思います。また、専有部分の居室に関しても、今回のように「見えない部分」まで抜かりのないリフォームがなされていれば、新築のマンションと遜色のない暮らしが叶うのではないでしょうか。そこは自信を持っていますし、実際にお住まいになられる方にも、きっと気に入っていただけるのではないかと思います。
取材・文:榎並紀行 撮影/homevideo company inc.
撮影場所協力:長谷工のリノベ「御茶ノ水ロイアルハイツ」
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編集者・ライター。編集プロダクション「やじろべえ」代表。住まい・暮らし系のメディア、グルメ、旅行、ビジネス、マネー系の取材記事・インタビュー記事などを手がけている。X:@noriyukienami
おまけのQ&A
- Q.仕事の都合に関係なく場所を選ぶなら、ハセンさんはどこに住む?
- A.自宅から海が見える生活に憧れるので、湘南あたりには住んでみたいです。あとは、箱根や軽井沢、あるいは沖縄や奄美大島などのリゾートエリアに戸建てを買い、東京の自宅マンションと行き来する二拠点生活ができたら楽しそうだなと思います。ただ、いずれにしてもまだまだ先の話ですね。