地球の間借り人

 台風の多い年だった。10月半ばに2週続けて来た時には「来ないで。同じところばかりいじめないで」と思ったものだ。この感覚は、地震の後の、たび重なる余震にも通じる。人から言えばその通りだ。だが、無論自然界はそんなことはお構いなしだ。そのたび思い知るのは、地球は人のためだけにあるのではないという、あたり前の事実である。自然界はもともとそこにあり、人はそのずっと後で生まれた。つまり、間借り人なのだ。間借り人は間借り人らしく、もう少し大家である地球の言うことを聞いたほうがいいと、この頃私はつくづく思うのである。窓の外は暖かい小春日和。どうかこの子の将来もこんな上機嫌な大家さんでいてください。2歳の娘を抱きながらそんなことを願っている。

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