3歳という奇跡

夕食の時間、大人たちを散々笑わせた3歳の孫娘が、父親に抱かれ新居に引きあげて行った。娘一家が、私たち夫婦と同じマンションに引っ越して初めての土曜の夜である。広告代理店に勤める娘は、出産後一年で職場に復帰した。保育園は見つけたものの、出張や休日出勤がある彼女は、車で20分のわが家を何かと頼りにした。だから、私たちの部屋のひとつ上に「空き」が出たと聞くと躊躇はなかった。即刻購入を決めた。もちろん妻は大歓迎だが、実は私も秘かに狂喜した。娘が孫と同じ歳、娘のお陰で私はどれだけ笑って過ごしたか。あの日々が帰って来ると思うだけで私の心は踊るのである。迷惑をかけるわねと娘は言うが、大丈夫、私たちも受け取るものは十分にある。

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