包丁の研ぎ方と毎日のお手入れ方法
包丁の研ぎ方・お手入れ方法を動画でご紹介します。
包丁の研ぎ方と毎日のお手入れ方法
「うちのご飯は世界イチ」の番外編、お料理の基本をご紹介するミニレッスンへようこそ。
第35回は「包丁の研ぎ方・お手入れ方法」です。基本の包丁の研ぎ方・お手入れ方法をご紹介します。
マユ先生、聞いてください!
昨日トマトを切っていたんですけど、全然切れなくて
今の包丁はもう買い替え時かなって思っているんです
切りづらくなったら、包丁を研いでみてはいかがですか?
実は…包丁を研いだことがないんです
なんだか難しそうで…
一度研ぎ方を覚えてしまえば、意外と難しくはありませんよ
ご家庭でもできる、包丁の研ぎ方の基本をご紹介しますね♪
研ぐ前に確認!包丁の材質と種類
包丁を研ぐ前に知っておきたいのが、使っている包丁の材質と種類。素材や形状、用途によって、包丁の研ぎ方は少しずつ変わってくるからです。
ここでは、包丁の材質と種類にはどんなものがあるのかをご紹介します。
包丁の材質
包丁の材質には、鋼・ステンレス・セラミックなどがあります。家庭用の包丁として広く用いられているのは、ステンレスとセラミックです。
ステンレスはサビにくく、割れ・欠けにも強いのでお手入れをしやすいのが特長。
セラミックは軽量で切れ味が長持ちしますが、落としたりぶつかったりすると欠けやすいので注意が必要です。また、刃がかたいため、一般の砥石は使うことができません。
包丁の種類
包丁にはさまざまな種類がありますが、大きく「和包丁」と「洋包丁」の2種類に分けることができます。
この2種類の大きな違いは刃の付き方。古くから日本で使われている和包丁は、主に刃の片面だけが斜めに研がれている「片刃」。片刃包丁は刃の片面だけが斜めに研がれており、素材を切ったときに刃が離れやすく、スパッときれいな断面になるのが特長です。
一方、明治以降西洋から伝来した洋包丁は、主に刃の両面が同じ角度で研がれている「両刃」。両刃包丁は刃の両面が同じ角度で研がれており、左右どちらでも切ることができるので利き手を選びません。
代表的な洋包丁
- 牛刀(ぎゅうとう)
シェフナイフとも呼ばれる両刃の肉切り包丁で、野菜や魚など、さまざまな素材に使えます。刃渡り20cmほどが一般的なサイズです。 - 三徳包丁
日本の一般家庭でよく使われている万能包丁です。刃渡りは牛刀よりも短く、コンパクト。
代表的な和包丁
- 出刃包丁
魚をさばくために作られた、刃の厚い和包丁です。基本は片刃ですが、両刃に仕上げられたものもあります。 - 柳刃包丁
刺身包丁・正夫(しょうぶ)とも呼ばれ、刺身を薄くきれいに切るのに最適です。刃渡りは長めで、家庭用では18~24cmが一般的ですが、プロはそれ以上の長さを使う場合も。
シャープナーを使った研ぎ方
シャープナーとは、応急処置的に刃を研ぐための簡易研ぎ器のこと。砥石で研ぐ時間がない、今ある程度切れやすくしておきたい、というときに使いましょう。
ステンレス包丁の場合
- 切れにくいと感じたらシャープナーを使用します。
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粗目付け用の溝に包丁を当て、上から軽く押さえながら、刃の根元から先までまっすぐ手前に10回ほど引きます。
※シャープナーは、一時的に切れ味を良くさせるもので、砥石による研ぎ直しの代わりにはなりません。しっかりとお手入れする際は砥石を使用しましょう。また、自宅に砥石がない場合は、包丁研ぎ屋で研いでもらうという手段もあります。
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次に、仕上げ研ぎ用の溝で同様に、5回ほど手前に引いて仕上げます。
電動式シャープナーの場合は、力を入れずに包丁を通すだけで簡単に研ぐことができます。
セラミック包丁の場合
- セラミック素材は欠けやすいため、シャープナーや砥石は使わず、メーカーなどの研ぎ直しサービスを利用しましょう。
砥石を使った研ぎ方
砥石を使うと、シャープナーよりもしっかりと研げるので、包丁を鋭い切れ味に戻すことができます。ちなみに、シャープナー同様セラミック包丁は欠けやすいため、砥石は使わずメーカーに問い合わせるようにしましょう。
砥石の種類
砥石は、主に素材の粒の大きさ(粒度)によって種類が3つに分けられます。
- [ 1 ]荒砥石
- 最も目が粗い砥石。削る力が強く、包丁が大きく減ってしまうので、刃が欠けたときの修正などに使います。
- [ 2 ]中砥石
- 中間の目の粗さの砥石。削る強さが丁度よいため、一番使用頻度が高いものです。日常の手入れに使います。
- [ 3 ]仕上砥石
- 最も目が細かく、なめらかな砥石。削る力が弱いので、中砥石で研いだ後、さらに切れ味をよくしたいというときに使います。
家庭での包丁研ぎでは、中砥石があれば十分です。しかし、よりきれいに切れ味をよくしたいという方は、3種類揃えておくと便利ですよ。
砥石の使い方
砥石は5分ほど水に浸け、濡れふきんを下に敷いて固定してから使いましょう。研いでいる途中に出てくる灰色のドロッとした研ぎ汁は、刃をなめらかに研ぐのを助けてくれるものなので、捨てずにそのままにして研ぎ続けます。
両刃の場合は、表の刃(持ったとき右側になる方)を、間に小指の先が入るほどの角度で砥石に当て、手前から奥へ押すように研ぎます。肩を楽にして、腕の重さを乗せる程度の力加減がベストです。
しばらく研いだ後、刃先を指で触ると「かえり(引っ掛かり)」が感じられるようになります。刃先全体にかえりが感じられたら、裏の刃も研ぎましょう。刃の向きが変わりますが、研ぎ方は同じです。
片刃の場合は、表の刃を両刃と同じように研いだ後、裏の刃は砥石にぴったり寝かせて研ぎます。
両刃・片刃とも、研ぎ終わったら平らな所に新聞紙を広げ、両面をこすってかえりを落としましょう。試し切りをして、スムーズに切れない箇所があればその部分にかえりが残っているので、もう一度こすります。
シャープナーや砥石がないときは?簡単な代用方法
シャープナーや砥石が手元にないときでも、身近なものを使って応急処置的に包丁を研ぎ直すことができます。ただし、あくまで応急処置なので、その後きちんとシャープナーや砥石を使って研ぐようにしましょう。
アルミホイルを使う
丸めたアルミホイルを包丁で切ると、刃の細かな傷に削れたアルミが入り込み、刃をなめらかに修復してくれます。
茶碗の底を使う
陶器の茶碗の底の部分=「糸底」に包丁の刃を当て、手前に数回引くだけ。ざらざらした糸底が、砥石のかわりをしてくれます。
普段のお手入れも忘れずに
- 包丁は、素材に関係なく、食器用洗剤できれいに洗い流し、余分な水分を残さないようしっかりと乾燥させます。
すごくよく切れるようになって、びっくり!
研ぐ前と研いだ後って、切れ味が全然違うんですね
研ぎ終わったら、切れ味を試すために
ミニトマトなどを切ってみましょう
切りやすくなっていたらOKです!
よく切れる包丁で調理をすると
切り口や見た目もきれいだし、
なんだか、料理上手になった気がする~♪
監修
森崎 繭香
お菓子・料理研究家/フードコーディネーター
【HP】 http://www.mayucafe.com/
料理教室講師、パティシエを経て、フレンチ、イタリアンの厨房で経験を積み、独立。
書籍、雑誌やWEBへのレシピ提供、テレビ・ラジオ出演など幅広く活動中。カフェやレストランでの経験を軸に、身近な材料を使った自宅でも作りやすいレシピを心がけている。
「野菜たっぷりマリネ、ピクルス、ナムル」(河出書房新社)、「いつものスープでアレンジレシピ60」「小麦粉なしでつくる たっぷりクリームの魅惑のおやつ」(ともに日東書院本社)、「型がなくても作れるデコレーションケーキ」(グラフィック社)など著書多数。