ゼネコン21社(以下「共研21社※1」)とプライムライフテクノロジーズ株式会社 (以下「PLT」)は 2020年9月に共同研究開発契約を結び、鉄筋の立体配置を認識する「配筋検査システム」の開発を進めています。このシステムは専用カメラで撮影し、検査部位の鉄筋の本数、鉄筋径、間隔、配置を立体的に捉えて認識する仕組みとなっています。共研21社とPLTは、検査業務時間の60%削減を目指し2022年度に建設現場にて実証実験を行い、2023年度からの本格運用を目指します。
■ 継続的改善を目指す共同開発スキーム
本開発体制の特⻑は、ユーザー側でもある共研21社とサービスの運営者となるPLTが共同で開発するスキームとなっていることです。共研21社の配筋検査における課題や検査方法の違い等を把握し、開発要件に反映させることで、精度の高いサービスを様々な現場に合わせて構築できます。また、運用開始後も共同開発のスキームを活かし、各現場からのフィードバックを基に継続的な改善を続けることにより、その他の建設会社も活用しやすいサービスへとつなげていきます。
■ それぞれの研究開発内容を融合させた共同開発
現在、共研21社が開発中の「AI(人工知能)を活用した鉄筋認識に関する技術」と、PLTがパナソニック株式会社と共同開発中の「配筋検査用システム、カメラデバイスおよび、アプリケーション技術」を融合させることで開発を進めています。
■ 研究開発の背景
建設業界共通の課題として、熟練技術者の高齢化による離脱や若手技術者の入職減少があげられます。一方で品質管理の厳格化の要求に伴い、高度な品質管理に対応できるレベルの現場技術者の育成には多くの時間がかかります。また、国土交通省はICTを活用することで建設現場の生産性を2025年度までに2割向上させる目標を掲げています。これらの課題を、デジタルツールを使い解決するという強い思いを、共研21社とPLTで共有し今回の開発に至りました。
■ 配筋検査システムの概要
本研究で開発するシステムの特⻑は鉄筋の⽴体配置を認識する点であり、配筋検査システムが実証実験で目指す仕様の概要は下記に示す通りです
- 構造設計図から、配筋検査のためのデータを登録・作成できること
- 専用カメラを用いて撮影した画像をもとに、配筋検査(本数、鉄筋径、間隔、配置)の計測ができること
- 登録した設計データと計測結果をもって、自動照合ができること(自動照合可能範囲は、段階的に拡大させる)
- 鉄筋配置の断面形状を出力できること
- 検査結果をクラウドサーバにアップロードして関係者と共有できること
- 実施した検査記録を検査帳票として出力できること
- 是正箇所のトレーサビリティが残ること
■ 今後の展開
2022年度共研21社の建設現場にて実証実験を実施。
2023年度PLTが「配筋検査サービス」を共研21社向けに本格スタート
同年度内に、共研21社以外のゼネコンにも対象を拡大(予定)
※1 共同研究参画会社21社(50音順)