2013年01月31日
これまで首都圏・近畿圏・名古屋圏の既存マンションにおいて約29万戸の大規模リフォーム工事を実施してきた長谷工グループは、今回新たなリフォームメニューとして、築30年程度の壁式低層共同住宅の長寿命化と省エネ性能を向上させる高経年既存低層共同住宅の総合省CO2改修(以下、総合省CO2改修)を策定しました。
新メニューの展開に際し、多摩ニュータウンの「エステート鶴牧4・5住宅」(東京都多摩市、356戸、29棟、1982年竣工)が採用第一号プロジェクトに決定し、2013年2月に着工する運びとなりました(2014年3月完了予定)。本プロジェクトは国土交通省が主催する平成24年度(第2回)住宅・建築物省CO2先導事業(※1)に採択され、国から補助金をいただいて事業を推進してまいります。総工事費11億円超の大型リフォーム工事となります。
地球温暖化対策として住宅分野の省エネ化はなかなか進んでおらず、特に既存住宅の省エネ対策が遅れているなか、今回の採用を皮切りに、当社グループの営業範囲では150万戸超存在すると推計される本物件と同様の壁式低層共同住宅に対してサービス関連事業の核として長谷工リフォーム が総合省CO2改修の提案を促進してまいります。
総合省CO2改修は、「外断熱改修」・「設備の高効率改修」・「耐震改修」・「スマート化改修」・「その他改修」という5つの改修メニューで、長谷工リフォームの住みながらリフォーム技術や長谷工アネシスの高圧電力一括受電サービスを含めて居住者に生活負担の少ない改修で構成されております。「外断熱改修」ではコンクリートの寿命を2倍(45年から90年)に延命化することができ、「スマート化改修」を含めてCO2排出量を23%削減できるなど、建物の長寿命化と環境・省エネ性能の向上に寄与します。
(※1)省CO2の実現性に優れたリーディングプロジェクトとなる住宅・建築プロジェクトを公募によって募り、支援することで省CO2対策を強力に推進し、住宅・建築物の市場価値を高めるとともに居住・生産環境の向上を図ることを目的に、平成20年度から国土交通省が実施しています。総合省CO2改修は、『なかなか実施が進まない既存共同住宅の省エネ改修に対し、断熱改修・設備の仕様変更・スマート化を組み合わせたビジネスモデルとしての展開を目指す』点が評価されました。
【総合省CO2改修の事業スキーム】
長谷工グループでは、累計施工実績52万戸超の長谷工コーポレーション及び長谷工リフォーム、長谷工アネシスの施工実績やノウハウ・技術力など総合力を活かした事業展開を行ってまいります。
【現状の課題】
(1)省エネ性能の改善
築30年を超える高経年の共同住宅は、ほとんどが省エネ法以前の建設で、抜本的な断熱改修・結露対策には内装解体が必要となります。そのため、住みながらの改修は困難で、多くの共同住宅で省エネ改修の障壁となっていました。また、節電ニーズにより電気設備の省エネ化、ライフスタイルの変化により電力容量増強、スマート化など多くの改善が求められていました。
(2)延命化の要請
壁式鉄筋コンクリート造の低層共同住宅は首都圏や近畿圏等の郊外に多く建設され、膨大なストックが累積していますが、建替えに至ったのはわずかな物件に限られています。多くは延命化せざるを得ませんが、修繕積立金も限られています。
【市場規模】
本プロジェクトと同タイプの壁式低層共同住宅は、総務省「平成20年度住宅・土地統計調査」によると全国に約228.4万戸、当社グループの営業範囲(※2)では151.1万戸存在すると推計されております。
(※2)首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県)、近畿圏(大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県)、中部圏(愛知県、三重県、岐阜県)であり、ここに立地する同タイプの共同住宅戸数合計は151.1万戸です。(首都圏約76.6万戸、関西圏49.1万戸、中部圏25.5万戸)。
【総合省CO2改修の特長】
築年数が経過した壁式鉄筋コンクリート造の低層共同住宅に対して、断熱改修・設備の仕様変更・スマート化を組み合わせたトータルな改修を実施することにより、建物の環境・省エネ性能の向上や建物の長寿命化などの効果が期待できます。
(1)総合省CO2改修のメニュー
改修区分 |
改修会社 |
改修内容 |
|
① | 断熱改修 |
長谷工リフォーム |
外壁の外断熱改修・屋上の外断熱改修、樹脂製内窓(後付け)への改修 |
② | 設備の高効率化改修 |
長谷工リフォーム |
共用部照明のLED化、高効率給湯器への更新
|
③ | スマート化改修 |
長谷工アネシス |
高圧一括受電サービス、スマートメーターによる見える化、幹線改修による専用部電量容量増強、HEMS、MEMS導入、太陽光発電、蓄電池の設置 |
④ | その他改修 |
長谷工リフォーム |
住みながら耐震技術をはじめとした改修工事を必要に応じて実施 |
※青字は「エステート鶴牧4・5住宅」で採用
(2)総合省CO2改修のメリット・効果
○居住者の生活負担を抑制
・「外断熱改修」、樹脂製内窓設置など生活や室内の内装材に影響を及ぼさない工事を採用。
○環境・省エネ性能を向上
・「断熱改修」により省エネ等級2から等級4に向上。結露防止、快適性向上。暖冷房費用削減。
・「スマート改修」により専有部電気代を5%削減。見える化により居住者の節電行動を喚起。
・「断熱改修」と「スマート化改修」を合わせてCO2排出量を23%削減。
・「設備の高効率改修」により、給湯・電気等のランニング費用とメンテナンス費用を削減。
○建物を長寿命化
・「外断熱改修」によりコンクリートの劣化を抑え、コンクリート寿命を45年から90年に長寿命化
【「平成24年度(第2回)住宅・建築物省CO2先導事業」への応募内容 】
事業種別:既存住宅・建築物の改修
建物種別:共同住宅
事業期間:平成24年度~25年度
代表提案者:㈱長谷工リフォーム
共同提案者:㈱長谷工コーポレーション、エステート鶴牧4・5住宅管理組合
プロジェクト名:高経年既存低層共同住宅の総合省CO2改修プロジェクト(「総合省CO2改修」)
評価結果の公表:独立行政法人 建築研究所 住宅・建築物省CO2先導事業ホームページ
http://www.kenken.go.jp/shouco2/index.html
【「エステート鶴牧4・5住宅」における改修事業 】
■改修事業の概要
○断熱改修・・・外壁の外断熱改修、屋上の外断熱改修、樹脂製内窓(後付け)への改修
[建物平面図(代表プラン例)]
○スマート化改修・・・長谷工アネシスの高圧電力一括受電サービス、スマートメーターによる電気使用量などの「見える化」
■建物概要
建物名称:エステート鶴牧4・5住宅
所在地:東京都多摩市鶴牧
敷地面積:11,345.14㎡
延べ床面積:37,531.20㎡
構造規模:鉄筋コンリート造(壁式構造)、3~5階建て
住棟数:29棟
総戸数:356戸
竣工年月:1982年3月
■会社概要
本社:〒105-0014 東京都港区芝二丁目29番14号
設立:2009年4月1日
資本金:3億円
代表者: 三井 啓太郎
従業員数:258名(2012年4月)
事業内容:リフォーム事業(大規模修繕工事、インテリアリフォーム工事)
ホームページ:http://www.haseko.co.jp/hrf/
■実績
大規模修繕工事実績:約29万戸
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